モランボン楽団ドタキャンで「どうせ我々は孤立している」と嘆く北朝鮮関係者
北朝鮮の牡丹峰(モランボン)楽団が12日に予定されていた北京公演を突如中止したことは、海外駐在の北朝鮮関係者を激しく落胆させたようだ。そのリアクションを米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。
中国東北地方に滞在中の北朝鮮貿易業者は次のように語った。
「モランボン楽団の公演がキャンセルになったという話を聞き、我が国の政府関係者ですら『常識に反する』と批判している。金正恩第1書記が国際的に孤立していることを見せつけられた」
「最大の友好国である中国に外交上の欠礼をしたことは、金正恩氏がいかに気まぐれかを国際社会に見せ付けたようだものだ」
この貿易業者は、北朝鮮住民から聞いた話だとして、公演準備の様子を次のように語った。 「金正恩氏は、自分の威勢を中国に見せつけるために100人もの大公演団を派遣した。公演を行う予定だったモランボン楽団と功勲国家合唱団は、それぞれ軽音楽と管弦楽でジャンルが違うが、金正恩氏の指示でアンサンブルを行うことになった」
「両者は息を合わせるために、数カ月前から合同練習を行い、相当苦労した。また、中国政府の首脳を魅了するために、中国歌謡や中朝親善を強調した歌も複数準備していた」
また、公演をキャンセルして急きょ帰国した理由については「なお確認中」としつつ、「集団行動を原則とする北朝鮮が、公演キャンセルを当日になって発表し、モランボン楽団のメンバーだけを飛行機に乗せて帰国させたのは、ただごとではない」と述べた。
また、北朝鮮の指導者は、自らの過ちを一切認めず責任を周囲の者になすりつけてきたことを考えると、今回のドタキャンに決定的な影響をもたらした人物は粛清される可能性もあると語った。さらに、第三国に滞在中の別の北朝鮮関係者は次のように語った。
「海外にいる貿易関係者や外交官は、口には出さないが、北朝鮮が国際的に孤立していることをよくわかっている。金正恩氏は『仲間はずれの独裁者』なのだ」