ラグビー元代表のジョナ・ロムー氏死去。屈強なラガーマンでも勝てなかった「ネフローゼ症候群」とは?

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報道各社が伝えるところによると、ラグビーのニュージーランドの元代表、ジョナ・ロム―さん(40)が18日、死去しました。ラグビー史上最高とも呼ばれるスター選手の訃報に衝撃が走っています。直接的な死因は明らかになっていませんが、ロム―さんは長年腎臓を患っていたことから、そのことが関係していると思われます。ここでは、「ネフローゼ症候群」と呼ばれる腎臓の疾患について解説します。

現役時代から苦しめられたネフローゼ症候群


ロムーさんは現役時代からネフローゼ症候群に悩まされており、1996年頃から状態が悪化し、プレーにも影響が出るようになりました。2003年にはさらに腎臓機能が低下し、人工透析を余儀なくされます。回復するには腎臓移植以外に手はなく、さもなければプレーどころか歩くことも不可能と言われたそうです。

幸いにも2004年にドナーが現れ、手術は成功。リハビリを経て2005年にプレーヤーとして復帰しましたが、ケガなどの影響もあって満足な出場機会を得られず、2007年に引退しました。2012年2月に、移植した腎臓が機能を停止したことから2度目の腎臓提供を待つと発表されていましたが、続報は聞かれませんでした。

慢性腎不全は治らない


ネフローゼ症候群は単一の病名ではなく、尿にタンパクが多量に排出されるために、血液中のタンパクの減少(低タンパク血症)を引き起こす腎臓疾患群の総称です。すべての年代に発症が見られ、症状としては、むくみ(浮腫)ほか、体重の増加、だるさ、尿の泡立ちなどがあります。

一方、何らかの理由で腎臓の機能が低下することを「腎不全」と言います。長年病気に悩まされていたこと、また人工透析や腎臓移植を受けていたことから、ロム―さんが「慢性腎不全」だったことが推測されます。

慢性腎不全は、基本的に治らない病気です。原因はさまざまで、慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症、間質性腎炎、血管を傷害する高血圧などの疾患が挙げられます。なお、慢性腎不全によって失われた腎臓の機能は、現代の医療技術では回復させることはできません。

病気が進行して腎臓の機能が正常の10%以下に低下してしまうと、人工透析や腎臓移植を受ける必要があります。ロムーさんの例からもわかるように、腎臓移植も完璧な治療法とは言えないのが現状です。

普段の生活と定期的な検査が重要


慢性腎不全を防ぐには、飲酒・喫煙をしない、適度な運動、減塩や規則正しい食生活、普段の生活が大事です。また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある人は、医療機関を受診してきちんと治療をしておきましょう。

残念ながら、これらのことを実践したからといって慢性腎不全の発症を必ず防げるわけではありません。病気を早期に発見し、治療によって腎臓の機能の低下を遅らせるには、定期的な検査を受けることが大切です。

執筆:諸富 大輔(Mocosuku編集部)
監修:岡本 良平(医学博士、東京医科歯科大学名誉教授)