NTTドコモキャンペーンサイトからキャプチャ

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NTTドコモがYouTubeの公式チャンネルにアップロードしたCM動画「あの子と別れてなんて言ってないじゃん。」と、そのキャンペーンサイトが強烈だった。ドコモメール、ライバルのメッセージアプリ、ユーザーの関係を男女の恋愛に見立てて描いているが、なかなかの修羅場だ。

まず登場するのはドコモメールを擬人化した女性。サイトに載っている女性のセリフがすごい。

「ねぇ、私のこと、どう思ってるの? 最近、あなたがあの子に夢中なことはわかってる。ドコモメールって真面目すぎてつまらない?古臭い? 飽きた? 面倒くさい ・・・?
でも、それでも、私は、あなたの近くにいたいんです」

えっ「メンヘラ」なんだろうか。妙にリアルで言葉が重い。

曇り空の砂浜で女性は男性を追いかけるがまったく相手にされない。それでも必死になって食らいついていく。

ときおり緑色の服(LINEのカラーと同じ)のキラキラとした女性の姿が映像に挟み込まれる。メッセージアプリを擬人化したこの女性が、男性(ユーザー)の新たな恋人ってことみたいだ。

ドコモメールの女性は、緑色の”あの子”のかわいさを認めるし、まったく悪くは言わない。それだけに男性に向けて叫んだ次の言葉が切実だ。

「私のことも大切にしてよ!あの子と別れてなんて言ってないじゃん!」「私ともメールしてよ!」

メッセージアプリに連絡手段が置き換わっていっても、メールを併用してほしいというメッセージらしい。

サイトでは「デコメ」や「着せ替えテーマ」などが使えるドコモメールストアの機能を紹介しつつ、最後は「あのアプリと別れてなんて言ってないじゃん!2番手でもかまいません。ドコモメールストアを是非使ってみてください」と締めくくっている。

あまりに自虐的でドコモのイメージを覆すCMのためネットで注目されたが、2015年5月20日の昼頃に動画が削除されてしまい、キャンペーンサイトもアクセスできなくなった。
どのような経緯でこのCMが制作されたのか、またなぜ削除されてしまったのか、NTTドコモの広報部に聞いてみた。

――かなり刺激的な内容ですが、どうような経緯や狙いで動画を作られたのでしょうか。
昨年開始したドコモメールストアの認知度を高めるため、動画を制作しました。

――緑色の服を着た「あの子」とは、LINEを指しているのでしょうか。
個別サービスを指しているわけではございません。

――キャンペーンサイトでは「2番手でもかまいません」とまで書かれていますが、
この思い切った表現に社内で反対はなかったのでしょうか。
様々なコミュニケーションサービスがある中で、ドコモメールストアをご利用いただいてコミュニケーションにご活用いただければという思いを表現しております。

――非公開となった理由はなぜでしょうか。
様々な反響をふまえ、非公開としております。

実は削除される前からユニークな動画と思い取材を申し込んでいたが、あれよあれよとこういう展開になった。ルミネのウェブCMが炎上してから、ユーザーの反応に企業も敏感になっているようだ。

(小島カズヒロ)