佼成学園vs東海大甲府
東海大甲府を相手に完投勝利を挙げた小玉和樹投手(佼成学園)
夕刻から始まった山日YBS球場での第四試合は佼成学園vs東海大甲府。地元開催で、さらに県優勝校である東海大甲府の登場もあってか、ネット裏には多く観衆が詰めかけていた。ここまで4校出場している山梨の学校が3校敗退しているため、県の王者・東海大甲府には当然期待がかかる。対する佼成学園も好投手・小玉 和樹(3年)を擁して、昨年秋は初戦コールドで敗れたが、今春は東京都準優勝。この試合は、佼成学園・小玉投手がいかに打線が強力な東海大甲府に対してどのような投球で向かっていくのかがカギとなった。
東海大甲府・先発の菊地 大輝(2年)は身体が大きく投球スタイルは同校OBである2012年夏の甲子園ベスト4の立役者・神原 友投手によく似ている。秋よりも球速が伸び、最速143キロを計測。さらに球の重さを感じ、一冬を超えてレベルアップしたことがよくわかる。佼成学園・先発の小玉 和樹(3年)も小柄ながらキレという点では非常に素晴らしい球を放れる投手だ。
その小玉を打線が援護する。佼成学園は、2回表に菊地を捉える。この回先頭の4番・橋本 大征(3年)が四球で出塁。5番・山本 一輝(3年)が右翼線へ安打を放つ間に、走者の橋本は三塁へ。無死一、三塁とチャンスを迎えて6番・伊藤 勇太(3年)が右前安打を放って先制。なおも一死二、三塁のチャンスで8番・小玉の内野ゴロの間にさらに1点を追加。続く二死三塁で9番・吉田 大就(3年)が強襲安打を放ち、この回3点目。佼成学園が鮮やかな攻撃で3点を先制する。
反撃したい東海大甲府は3回裏、二死から2番・高部 瑛人(3年)、3番・五十嵐 誉(3年)が適時打で連続出塁。続くチャンスに4番・平井 練(3年)が内野安打。相手守備のミスがある間に高部が生還。なおも二死一、二塁で、5番・飯塚 隆哉(3年)の適時打でこの回2点を入れた。東海大甲府は取られたらすぐ取り返せるところに試合巧者ぶりを感じる。佼成学園の思うようにさせない。
主将としてチームを牽引した五十嵐誉(東海大甲府)
5回表、佼成学園の攻撃。9番・吉田 大就(3年)が内野安打と相手失策を絡めて、無死二塁のチャンスを演出。1番・森口 健介(3年)が走者を送ろうと犠打を試みる。これが東海大甲府守備陣のミスを誘い、走者の吉田が生還。4対2で点差を広げていく。東海大甲府も5回裏は一死一、二塁から4番・平井 練(3年)が二塁打を放ち、再び1点を返した。東海大甲府も主導権を渡したくないが、佼成学園が優位な展開に進めていく。
6回裏、東海大甲府の攻撃は一死から8番・先発投手として力投している菊地 大輝(2年)が左翼線二塁打でチャンスを作る。9番・福武 修(2年)が安打で繋ぎ、一死一、三塁。チャンスで迎える1番・角山 颯(3年)が打った打球は投ゴロ。角山の全力疾走が併殺崩れを呼び込み、東海大甲府がついに同点に追いついた。佼成学園・小玉 和樹(3年)を打ちあぐねていた打線だが執念で同点に。好選手も多いが粘ってチームのために役割を果たせるのも今年の武器だ。
同点で迎えた9回表。佼成学園は6番・伊藤 勇太(3年)がこの日2本目となる安打で出塁。佼成学園ベンチは7番・山崎 佑介(2年)の打順でディレードスチールを決めて、無死二塁にチャンスを広げた。打者・山崎は犠打を試みる。これが東海大甲府守備陣の野選を誘い、一死一、三塁。迎えるは8番・小玉 和樹(3年)。ここが勝負だと見た佼成学園ベンチは1球目でセーフティースクイズを決行。これを小玉が決めてついに勝ち越し。小玉は自分のバットで、自分の投球を楽にした。
9回裏、東海大甲府は9番・福武 修(2年)の安打・盗塁を絡めて二死二塁。迎えるは4番・平井 練(3年)。今日の試合でも安打を打たれていることから1点をやれない小玉はギアチェンジ。力みから少々高めに球が上ずっていたが、徹底した内角攻めで平井を追い込む。最後は落ちる球で三振に切って試合終了。佼成学園が5対4で東海大甲府を撃破した。
勝った佼成学園。小玉 和樹は、最速141キロを計測したように、球速もあり、変化球のキレも素晴らしい。試合では味方が4失策ともっと得点が取られ、ミスがでてもおかしくないと思えたが、投球術で東海大甲府打線を抑えた。よく仕掛けてくる東海大甲府だが小玉投手の間合いに対応できず盗塁を試みようとするランナーはタイミングも合わず、打者もタイムをとってしまう場面も多く見られた。さらに、エンドランを仕掛けてきたら安打になりづらいコースに投げるなどして、東海大甲府の理想とする野球をさせなかった。
次戦は川越東と対戦する佼成学園。両校好投手を擁していることから投手戦が予想される。
(文=高校野球ドットコム編集部)