19日、渋谷駅前の地下鉄入り口の屋根によじ登り国旗を振るサポーター(上)を説得、取り押さえる警察官。(撮影:常井健一)

写真拡大 (全2枚)

「旗を振り回すサポーター諸君、すぐにやめなさい。周りの人がケガする恐れがあります」、「警告する。やめないと部隊で規制する」──。

 2006FIFAワールドカップ ドイツ大会決勝トーナメント進出に最後の望みをかけたクロアチア戦で、日本代表は無念のドローで90分間の試合を終えた夜。多くのサポーターが居酒屋やディスコなどで声援を送り続けた東京・渋谷の繁華街では19日未明にかけて、一部の若いサポーターらが暴れ、警官ともみ合う場面もあり、一時騒然となった。

 試合終了後の混乱に備え、後半戦中盤から渋谷駅前のスクランブル交差点では、警官約50人を動員して斜め横断を規制。店舗でのテレビ観戦を終え、終電に駆け込むサポーターの大群を誘導した。

 日付が変わると騒ぎは徐々にエスカレート。ひとりの男性が地下鉄入り口の屋根によじ登り、国旗を振りながら大声をあげると、周囲には興奮したサポーターおよそ300人が集まり歌を歌い始めた。再三警告を受けても屋根の上で暴れ続けた男性は、やがて警官に取り押さえられた。その後も、サッカーボール、発炎筒、花火、爆竹が人だかりの中に投げ込まれ、通行者の顔面にあたる場面も。渋谷は一時危険な街と化した。

 午前0時30分ごろ、スクランブル交差点前から興奮したサポーターの大群が去ったと思えば、50メートル離れた音楽ソフト販売店前に100人ほどが集まり、出場選手の名前を連呼。熱狂的なサポーターらの酒気と汗の臭いに、煙と火薬臭が入り混じる。過剰な騒ぎは、午前1時半過ぎまで続いた。

 暴れるサポーターが去った歩道には、壊れた傘やペットボトルなど散乱したゴミが残され、それらを近くのビル管理者らが拾っていた。「4年前は、ゴミを拾っていくサポーターが多かったのですが」と話すのは、ボランティアで防犯活動を行う市民団体「日本ガーディアン・エンジェルス」渋谷支部の男性メンバー。5年前の大晦日に地下鉄の屋根によじ登った若者が転落して死亡した例を挙げながら、「4年に1度のお祭りだが、事故は起こさぬよう、マナーは守って」と呼びかけていた。【了】

■関連記事
サムライ、引き分けで青息吐息

■関連コンテンツ
livedoor スポーツ(サッカーW杯特集)

■関連リンク
日本ガーディアン・エンジェルス