学校が嫌いだった。勉強も、習い事も、何も、人並みにできなかった。でも将棋という初めて人並みにできることが見つかった。自分は将棋がなかったら、鈴木大介先生に出会わなかったら、どうなっていたかわからなかった。 “軍曹”、“ストイック”――。永瀬拓矢を形容するいくつもの強固な異名。今春、“3度目の正直”で初タイトル獲得に燃える男のイメージとは、あまりにもかけ離れた言葉の数々に、思わずたじろいだ。少年期を