礼儀正しさが際立った奥村

 相川亮二捕手の人的補償で巨人からヤクルトに移籍した19歳の2年目内野手・奥村展征。入団会見ではヤクルト・小川淳司シニアディレクター同席のもと、決意を新たにした。

 さすがに最初は戸惑った。会見では移籍の心境について「全く考えていなかったので、最初は驚きもありました」と話した。気持ちの整理は簡単にはつかなかったが、「やってやろうという気持ちになりました。新天地で新人の気持ちで新たに頑張っていきたいと思います。どのチームでプレーしても、自分の目指すところは変わらない。スワローズの一員としてチームに貢献できるようにしたい」とコメントし、礼儀正しい印象を残した。

 父は滋賀・甲西高校の野球部の監督でもあり、野球一家に育った。厳しい人間教育を受けたのかもしれない。高卒で巨人にはわずか1年の在籍となったが、19歳の若者は「時間をきちんと守ることなど礼儀作法を学びました。野球に対して、真摯に向き合っていくチームでした」と古巣への感謝の言葉を忘れなかった。

 奥村は移籍が発表された9日に自主トレ先の熊本から帰京。寮に戻らずに巨人の球団事務所に行き、そこからヤクルトの入団会見に臨んでいる。ヤクルトの関係者が不思議がったのは、服装だった。奥村は正装で会見に姿を見せた。

 キャンプは別だが、オフの期間に自主トレに行く選手は通常、スーツは持参しない。球団行事でないため、ラフな格好が多いのだ。だが、奥村にとっては初めてのオフの自主トレ。一緒に行う目上のメンバーに失礼のないようにと持参していたのだった。

 広角に打ち分ける技術に加え、人間性も高く評価される奥村。ヤクルトは将来性豊かな若手に大きな期待を寄せている。