イチロー【写真:田口有史】

レギュラー確保も困難「興味が本当だったとしても、問題は出場時間」

 ヤンキースからフリーエージェント(FA)となっているイチロー外野手にブルージェイズ入りの可能性が浮上していると米国内で報じられた。しかし、地元メディアグループ「スポーツ・ネット」は、補強費の問題でブルージェイズが獲得するのは困難だとの見方を示している。

 USAトゥデー紙の名物記者ボブ・ナイチンゲール氏は現地時間7日、イチローに対してブルージェイズ、マーリンズ、オリオールズが興味を抱いていると報じた。メジャー通算3000安打の金字塔まで156本に迫るレジェンドの去就は静かに動き出したが、「スポーツ・ネット」の「イチローに興味?」という記事では、ブルージェイズ移籍に否定的な要素を挙げている。

ブルージェイズは様々な選手の獲得の可能性を検討している。実際に補強に動く時に慌てずに済むよう、そして、注意のために多くのやりとりをしている。興味が本当だったとしても、問題は出場時間だ。ブルージェイズはマイケル・ソーンダースとホセ・バティスタに加え、ダルトン・ポンペイにチャンスを与えることを真剣に検討している。トロントは外野手の層を厚くすることはできるが、イチローは2014年はエブリデイ・プレーヤー(レギュラー)で、出塁率3割2分4厘で打率2割8分4厘を記録していた」

 記事では現状についてこう指摘。チームは、昨年12月にマリナーズとのトレードで獲得したソーンダース、リーグを代表する強打者バティスタに加え、昨年9月にメジャーデビューした地元カナダ出身の22歳、ポンペイを先発に抜擢することを検討しているという。当初から、地元メディアでは控え外野手としての獲得になるとも報じられていた。

「年俸減額をイチローが受け入れたとしても、バジェットを割くことになる」

 イチローは昨年、開幕直後は5番手の外野手という位置付けだったものの、限定的な起用法で着実に結果を残し、夏場に先発の座を勝ち取った。ただ、7月のトレード期限でヤンキースが補強を行うと、再びレギュラー落ち。この記事では「エブリデイ・プレーヤー」との記述があるが、実際には1シーズン通じてレギュラーだったわけではない。

 定位置争いをできるフェアな機会さえあれば、イチローは挑戦する可能性もあるはずだが、記事では現時点で先発外野手の補強にブルージェイズが積極的ではないことを伝えている。

 最大の問題はチームの編成予算だという。記事では「ブルージェイズは現在、リリーフ陣の強化を模索し続けているが、残り資金は推定で500万(約5億9000万円)から700万ドル(約8億3000万円)。もしも、昨年の650万ドル(約7億7000万円)からの年俸減額をイチローが受け入れたとしても、トロントのバジェットを割くことになる」とも説明している

 今オフ、ブルージェイズは大型補強を敢行した。パイレーツからFAになっていたラッセル・マーティン捕手を争奪戦の末に獲得。アスレチックスとの大型トレードでジョシュ・ドナルドソン内野手も加えた。いずれもオールスター級の実力者。プレーオフ進出を目指すための大補強で、資金が逼迫した可能性もある。さらに抑えの補強を優先する現状では、イチロー獲得資金は十分用意できないとされている。

 イチローブルージェイズ移籍が実現するには、まだハードルが残されているのか。今後の動向が注目される。