マリナーズ・岩隈久志【写真:田口有史】

米メディアが躍進予想、ヘルナンデス&岩隈が負傷なら「大惨事」

 今オフも積極的な補強を続けるマリナーズが、今季のア・リーグ西地区で優勝候補の最右翼に挙げられている。イチロー外野手がMVP&新人王をダブル受賞した2001年にはメジャータイ記録となる116勝を挙げたマリナーズだが、野球専門の米データサイト「ファングラフス」では、その時以来となるア・リーグ最高勝率をマークすると予想。このデータを紹介したESPNでは、そのキーマンの1人として岩隈久志投手が指名されている。

 ファングラフスの予想では、マリナーズの今季成績は89勝73敗とされている。これは堂々のア・リーグトップの数字だ。ESPNでは、この予想について、分析記事を掲載している。

「ファングラフスでは、マリナーズはア・リーグ最高のチームとなっている。だが、試合は予想システムだけで勝つことはできない。では、いかにマリナーズは2001年以来となるポストシーズン進出を果たすのか」

 この書き出しの後に8つの条件を挙げて解説。その1番目に岩隈の名前が登場する。

「フェリックス・ヘルナンデスとヒサシ・イワクマの2人は健康であり続けなければいけない。先発ローテーションの層は薄いので、彼ら馬車馬の1人にでも大きな負傷が起きれば、大惨事となりうる」

球団史上初のWS進出なるか

 マリナーズでは、「キング」の異名を持つヘルナンデスと岩隈が「先発2枚看板」を形成している。安定感抜群の2人がフルシーズンを戦い抜くことが、マリナーズの地区制覇への最も大事な条件というわけだ。

 岩隈は右手中指の負傷で昨季開幕から約1か月出遅れたものの、その後は先発ローテーションを守った。2012年にメジャー移籍してから長期離脱はなく、フル稼働しているだけに、これまで通りの働きが求められることになる。

 記事ではさらに、昨季オリオールズで本塁打王に輝いた新加入のネルソン・クルーズの活躍、ロビンソン・カノ、カイル・シーガーという主軸の例年通りの働きなど、打線についても言及。また「フェルナンド・ロドニーの更なる綱渡り」と昨季は不安定ながらも48セーブを積み重ねた守護神についても触れ、「ロドニーは依然として9回のキーマンだが、マリナーズにはロドニーに続く選手層がある」とブルペンの充実ぶりを評価している。

 そして、最後の総評では再び岩隈の名前が登場する。

マリナーズにはキャリアの全盛期を迎える中心選手がおり、フェリックス、カノ、シーガー、イワクマという最高の一流タレントもいる」

 加入3年目を迎えた右腕は、もはやマリナーズに欠かせない選手となった。昨季は惜しくも2001年以来となるプレーオフ進出を逃しただけに、その悔しさを晴らすためのシーズンには大きな期待がかかる。

「2014年の躍進は正当なものに思えたが、彼らは2015年に更に躍進できるのか?」

 記事の最後はこう締めくくられている。2001年以来の快進撃、そして当時のイチローも果たせなかった球団史上初のワールドシリーズ進出はなるか。大きなチャンスであることは間違いない。