ノーベル賞を待ち望む韓国、「空の台座」や「名前のない橋」など準備は万端

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iPS細胞(人口多能性幹細胞)を作製した京都大の山中伸弥教授が、2012年のノーベル医学生理学賞を受賞した。英ケンブリッジ大学名誉教授のジョン・ガードン博士との共同受賞。日本のノーベル賞受賞者はこれで19人目、科学分野においては16人目となった。

日本が受賞で盛り上がるなか、韓国ではなぜとれないのかといった議論が続いている。韓国の受賞は、2000年に金大中元大統領が平和賞を受賞しているが、自然科学分野での受賞はない。そのため、最近韓国は科学分野の予算を大幅に引き上げ、近い将来韓国からノーベル賞がでるよう環境作りを進めている。そんな韓国のノーベル賞に対する切実な思いを感じられる物が、蔚山科学技術大学校と浦項工科大学校にはある。

2009年に開校したばかりの蔚山科学技術大学校は、科学・技術分野の人材育成に力を入れている国立大学。校舎は大きな湖を囲むようにして建っており、キャンパスには川が流れている。その川には8つの橋が架けられているのだが、それらに名前は付けられていない。なぜなら、蔚山科学技術大学校の出身者からノーベル賞が出た時に、初めて橋に名前を付けるからだ。

学生のチャレンジ精神を育てたいという同校のチョ・ムジェ総長のアイデアによるもの。総長は、「先端融合学問の創意的な人材育成をビジョンに掲げている。学生が『ノーベル賞受賞者の橋』を見て、大きな志を抱いてくれるよう願っている」と期待を寄せた。

浦項工科大学校には、何も置かれていない空の台座がある。キャンパスの中央広場に設置されており、同校出身者からノーベル賞受賞者が出たら胸像を置くのだという。前面には「未来の科学者」のプレートが付けられている。パク・チャンモ総長は、「学生たちのノーベル賞とフィールズ賞に対するチャレンジ精神を育てるため設置した。2020年までには空いた台座の主が表れるだろう」と話した。

ちなみに、同校には、ロバート・ラフリン(1998年、ノーベル物理学賞受賞)をはじめ、26人のノーベル賞受賞者やフィールズ賞受賞者3人などが植樹した木が植えられている。韓国のノーベル賞に対する熱意は想像以上だ。

参照:京郷新聞
参照:毎日新聞(韓国)

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