中国新聞社など中国メディアは23日、「南京市民が熟知する日本の友人、松岡環氏が22日、“南京事件”を巡る河村たかし市長の発言に対する抗議文を友人を通じて名古屋市に渡した」と報じた。松岡氏は「南京戦 閉ざされた記憶を尋ねて―元兵士102人の証言」の著者。

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 中国新聞社など中国メディアは23日、「南京市民が熟知する日本の友人、松岡環氏が22日、“南京事件”を巡る河村たかし市長の発言に対する抗議文を友人を通じて名古屋市に渡した」と報じた。松岡氏は「南京戦 閉ざされた記憶を尋ねて―元兵士102人の証言」の著者。

 報道によれば、松岡氏は(“南京事件”に強い疑問を示した)河村市長の発言を「誤謬(ごびゅう)であり、見逃すことはできない」と非難。「日本は姿勢をただし、歴史的事実ははっきりと認め、被害国に心から謝罪し、子孫が歴史を永久に記憶できる教育体系を作らねばならない。それでこそ、世界に尊敬される国になれる」と主張した。

 写真は2010年8月15日に撮影。南京大虐殺記念館と平和公園で行われた南京国際平和集会で発言する松岡氏。

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◆解説◆ 松岡氏の著作に対しては、日本の戦争責任を厳しく追及する立場の人からも、内容について批判がある。

 中国では歴史問題について日本と対立が表面化した場合、自国の主張に賛同する「日本人の言動」を報道することが多い。当局の意向がどの程度反映されているかは不明だが、国内向けに「自国の主張が正しい。日本人でも認める人がいる」と強調すると同時に、「日本において、中国側の主張を認めないのは一部の勢力」と示唆することで、“反日感情の暴走”を抑制する思惑の場合がある。

 中国メディアが松岡氏を「南京市民が熟知する日本の友人」と表現したことにも「日本人全体を敵視しているわけではない」との主張が込められていると考えてよい。(編集担当:如月隼人)