J2降格の危機に瀕している浦和レッズが、監督交代を決めた。ペトロヴィッチ監督を解任し、ユース監督の堀孝史氏にバトンを渡したのだ。

もはや一歩も引けない状況での監督交代が吉と出るか、あるいはこのまま沈没してしまうか、どうなるかはわからないが、いずれにしても浦和の迷走ぶりが窺える監督交代劇だね。

Jリーグ開幕当初、お荷物と呼ばれていた浦和は、熱心なサポーターの応援をバックに、ビッグクラブへの階段を登ってきた。営業収入は群を抜き、真っ赤に染まるスタンドは世界のサッカーシーンに引けを取らないものとなった。

体は確かに大きくなった。しかしクラブの体質そのものは、何も変わっていないように思える。社長は親会社からの出向だが、サッカーを知る知らない以前に、そもそも親会社の中に、プロクラブの経営経験のある人間など皆無だ。その中から選ばれた人間が、予算の枠組みの中でやりくりをしていかなければならない。

シーズン途中で監督をクビにすれば、当然違約金が発生するわけで、経営者ではなく、サッカーチームというイチ部署の部長が、リスクを負った決断ができるかといえば、難しいと言わざるを得ない。

そこへ、良くも悪くもサポーターの影響力というものが重なる。ペトロヴィッチ監督をクビにしたのは社長なの? サポーターなの? 浦和の迷走の一端には「ビッグクラブ」という看板の重圧と、その看板に見合わない中身、というものがあげられると思うね。

関東圏の柱である浦和がJ2へ降格すれば、J1の売り上げは落ちる。つまりJリーグ全体の売り上げが落ちてしまう。観客動員数はさらに落ち込むだろうし、となればスポンサーも離れていくだろう。

前回浦和が降格したときよりも、状態は極めて深刻だ。浦和だけの問題ではなく、Jリーグ全体の問題だよ。降格するしないに関わらず、せめて自分たちのあり方を、改めて考えなおす契機にするべきだと思う。