この試合で、宇佐美が途中出場でリーグデビューを果たしたものの、ロスタイム直前で交代させられてしまい、屈辱の懲罰交代のような言い方がネット上でされていたので、ちょっと心配になりながら録画を見ていた。

ハインケス監督になってから初めて見たバイエルンの試合だが、よく言えば堅実、悪く言えば旧態依然としたサッカーだな、というのが第一印象。

ボルシア・ドルトムントのように、選手がどんどんポジションチェンジしながらスペースに走り、2人目、3人目の選手へとつなげるようなシーンはほとんど無く、ツータッチで選手の足元へとつないで回し、最後はリベリが勝負したり、ボールを奪って素早くサイドからクロスを上げて中でどうにかするというパターンで、大崩れこそ無さそうだが美しさや楽しさも無いサッカーだなという感じ。

それはヴォルフスブルクも似たようなもので、前節と同じく長谷部が右SBの位置に入っていたが、主にリベリをマークする役割を与えられていてあまり攻撃には参加せず。シャルケの内田のようにビルドアップをマガトからは期待されているらしいが、ヘルメスとマンジュキッチの2トップは堅いバイエルンの守りに封じられて、なかなかクサビのパスを入れられる機会は与えてもらえなかった。

それでも出足でバイエルンを終始上回ってチャンスの数ではヴォルフスブルクのほうが多かったのだが、前半にヘルメスが頭で押し込んだゴールがオフサイドの誤審を受けたり、フリーでのダイレクトシュートを同じくヘルメスがふかしてしまったりと運がなく、最後の最後で右サイドからの折り返しをグスタヴォに決められて敗戦。バイエルンの出来からするともったいなかった試合だった。

後半24分から出場した宇佐美は、仕方ないけどなかなか試合に入っていけない様子で、サイドでボールを持っても守備意識が高いヴォルフスブルクに縦を切られて、ファーストタッチでは仕方なくバックパスをしてみるのだが、そこにもヴォルフスブルクFWのマークが入っているので、危うくボールをカットされてしまうところだった。

それでも、中に入ってボールに絡もうという姿勢も見られていて、少しずつ落ち着きが見られたかなと思ったところで味方が点を取ってしまい、ファンブイテンと交代してしまった。実際に試合を見れば、点を取ってからCBの選手を入れたのだから、懲罰でも何でもなくて単に戦術的な交代、それもあまり守備に期待出来ない最年少の選手を下げるというのはごく当然な選択であり、宇佐美が責任を感じる必要は全く無かったと断言できる。

ただし、体勢が悪いとすぐ後ろや横にパスすれば、いつかは誰かがパスでお膳立てしてくれるJリーグとは違って、ブンデスリーガはフォローというものが基本的に無いので、自分個人の力だけで前を向けなければどんどん存在感が無くなってしまう。前を向けば仕事が出来ることは皆分かっているのだから、そういう部分をまだまだ積み上げて行かなかればならないのは確かだろう。