新入生・新社会人になって上京した人も1か月が過ぎて新しい生活にも慣れたことでしょう。それでもなかなか変わらないのがお国言葉。職種によっては標準語が必須の場合もありますので苦労している方も多いかと思います。

標準語が当たり前の職業のひとつにアイドルがあります。昔からアイドルは標準語を話すものと相場は決まっていましたが、最近は事情が少し違ってきているようです。

最近のテレビ番組で、堂々と地元の方言を使う“ナマドル”と呼ばれるアイドルが登場してきたのです。

ナマドルとは
ナマドルとは、“方言”や“訛り”のある言葉を話すアイドルのことです。
語源は「訛り(なまり)」と「アイドル」から成る合成語や、「なまりアイドル」の略語とも言われています。

ナマドル出現の背景としては、1990年代の地方局のアナウンサーが地元言葉で訛ったまま話したことや2000年代のロコドル、ジモドルと呼ばれる地方だけで活動するアイドルの登場にあるようです。彼女たちが土地の訛りを使ってファンに親近感を持たせたことなどがナマドル登場への下地となったといえるのかも知れません。

そして全国区で活動するアイドルの中にも故郷の訛りを直さず、そのまま話す人が現れました。それが現在のナマドルと呼ばれるアイドルたちで、2008年の今年のブームになりつつあります。代表的なナマドルとしては宮崎県出身の青島あきなさん、福島県出身の野紗耶香さん、山形県出身の佐藤唯さんが挙げられます。

ナマドル人気の秘密は「方言萌え」
実はナマドルが人気となる以前、1980年代にも方言を使ったアイドルはいました。後にリンドバーグのボーカリストとなった渡瀬麻紀さんは三重弁を使っていましたが、そのころはまだ方言が受け入れる背景、つまり現在の「方言萌え」が無かったために方言自体が大きな武器となるには至っていなかったようです。

「萌え」という言葉から連想されるように、アニメ・漫画・ゲームなどで方言を使うキャラクターに萌えを感じた人から、「方言萌」という概念が誕生したと思われます。

漫画の世界でも方言を話すキャラクターは以前からありましたが、スタイリッシュでない脇役の男性キャラクターでした。例えば、「パーマン」のパーヤンや「宇宙海賊キャプテンハーロック」のヤッタラン副長など、関西弁を使っていましたが、太り気味な体型ととぼけたキャラクターとなっています。

ところが近年、「あずまんが大王」の大阪さんのようにかわいい女性キャラクターが方言を使うようになり、女性が方言を使うことの“かわいさ”が認知されていったと考えられます。現在では一人は方言を話す女性キャラクターがいる作品がほとんどと言っても過言ではないほど必要なキャラクターとなっています。

■方言の人気が拡大
方言の一般化は、1980年代のお笑いブームが大きな役割を果たしており、当時は関西弁が全国に広まりました。その後も、テレビや映画でも方言が使われるようになると次第に日常でも用いられるようになってきました。こうした背景に携帯メールの普及が拍車をかけて様々な方言が広まったというわけです。

●ネットやギャル、出版まで……
2ちゃんねるなどでは、「萌える方言の使用例」を募集するスレッドが立ったり、萌える方言の順位付けがされることがあります。書き込みの内容を見ていると関西弁(大阪、京都、兵庫)、広島、博多、名古屋、大分、高知、東北が人気のようです。

また一方で、都会の女子高生にも方言が人気となっているようです。ギャル語にもなっている「うちら」は関西弁で「私たち」という意味ですが、これなどもよく使われています。
さらに最近では、「なまら(北海道)せからしか(九州地方)=とてもわずらわしい」など各地方の方言をミックスして使うケースもあります。

方言ブームには出版も動いています。主婦と生活社は全国の方言約2千語を 収録した「ちかっぱめんこい方言練習帳!」を出版。同社が女子中高生4千人に実施した調査では、約6割が会話やメールで方言を使っていると答えたそうです。編集長の森本泉氏は「都心だけでなく地方の若者も方言をわざと使う。暗号のように使って、仲間意識を強める手段になっている」と話しています。

方言が人気となる一方で、方言の地元の人から見ると単語だけを真似て誤ったイントネーションで使っていることも気になるようです。
方言がより多くの人に認知、広まることは悪いことはありませんが、誤った発音で利用されるケースも増えるため、悩ましいところではあります。

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