『華麗なる一族』、『花より男子』、『ハケンの品格』など、2007年1月クールで放送されたテレビドラマが軒並み高視聴率をマーク。21世紀以降ヒットドラマが急減し、冬の時代と囁かれていたテレビドラマも、すっかり人気を持ち直したのではないでしょうか?

 と、ここでふと思ったのですが、昔はよく「トレンディドラマ」ってありましたよね。旬の女優や男優が主役として登場し、人気の職業に就いて、都会でオシャレな恋愛を楽しむ〜みたいな。でも、あれって一体何をもって「トレンディ」と位置づけていたんでしょう? ファッションやらお店やら、確かにその時代の「トレンド」がたくさん詰まっていたとは思うのですが、例えば東京タワーが映ってなかったらダメ! とかあるんでしょうか?

 「トレンディドラマの特徴は、(1)主体となる登場人物が若者ばかり、(2)メインのテーマは恋愛、(3)現実離れしたお洒落な場所とファッション。大抵は親元を離れ東京で一人暮らしをしている若者同士のやりとりで、親などの“大人”は物語の主体としては出てきません」(テレビドラマ研究家 古崎康成さん)

 先駆けとなったのは83年スタートの「月曜ドラマランド」や85年スタートの「木曜ドラマストリート」。本格化したのは88年の『君の瞳をタイホする』や『抱きしめたい!』。「楽しくなければテレビじゃない」という標語のもと、フジテレビが若者をターゲットに大々的に放送を開始したドラマが、トレンディドラマの原点であり、もっとも象徴的だったのだそう。

 とはいえ、憧れだけを映像化したトレンディドラマの夢物語には限界もあり、次第にお金をかけず普通に生活する等身大の若者の生き様を描くドラマが台頭していったそう。内容も徐々に若者間だけではなく、親世代との交流にも触れる「人間ドラマ」になり、さらには、恋愛だけでなく仕事をテーマにした「お仕事ドラマ」などが増えていったという。

 「いわゆる“脱トレンディ”の流れです。等身大の若者像をリアルに描いた代表作は91年の『東京ラブストーリー』。仕事をテーマにしたドラマは95年の『王様のレストラン』にはじまり、97年の『踊る大捜査線』で最盛期を迎えたと思います。おそらくこの“お仕事ドラマ”の隆盛で、トレンディドラマにひとつの終止符が打たれたのではないでしょうか」(同)

 ちなみに、現在では大きな意味で『東京ラブストーリー』もトレンディドラマの一部と考えられているそう。ただ、若者が主人公で恋愛がメインテーマのドラマは、簡単に言えば単なる「恋愛ドラマ」。言ってしまえば現在のテレビドラマは大部分がそういったものなので、初期の純粋なトレンディドラマの持つ要素とは、ちょっと違うそうですよ!(清川睦子/verb)

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