ゲーミングスマホ「ROG Phone」の弩級な周辺機器! ASUSが創る世界感が目指す次世代とは

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ASUS JAPANは同社のプロゲーマー向けのゲーミングブランド「ROG(アールオージー/Republic of Gamers)」から、初のスマートフォン「ROG Phone」を2018年11月23日に発売した。

ASUSをはじめとする海外のPCベンダーは、個人向けのほかに法人向けPC・ソリューションでビジネスを展開しているが、スマートデバイスの台頭で個人向けのPCの市場は縮小傾向にある。




そんな縮小傾向にある個人向けPCであるはあるが、ハイスペックを要求するゲーミングPC分野はニッチではあるものの金額ベースでは今も魅力的な市場である。

例えば個人向けPCの場合、10万円前後でも十分な性能の製品が購入可能である。
一方、ゲーミングPCの場合は、
高度な3Dグラフィック処理を行うハイエンドのビデオカード単体だけで10万円以上もするのである。
さらに複数枚のビデオカードを搭載することにより、高精細でハイフレームレートのゲーミング環境を作るケースもある。なぜ、ハイエンドのビデオカードが必要なのかというと、美しいグラフィックでゲームの世界に没入できるのはもちろんだが、タイミングがシビアな対戦ゲームで勝つために高性能なビデオカードが要求されるのである。

こうしたゲーミングPC向けに性能を向上させるためには、ビデオカードだけではなく、さらにハイエンドのCPUや高速メモリーやストレージなどが必要となる。構成するパーツそれぞれが数万円単位にもおよぶハイエンドPCの世界は、レーシングカーのチューニングに近いマーケットでもある。

というのも、これらの高性能パーツの発熱を抑えるためには、高度な冷却システムを組むなど、性能維持と安定動作のためにも様々な高品位なパーツも必要となるからである。

つまり
高性能な製品の精度や耐久性、そして安定性など高度な要求に応えるためのマーケットがゲーミングPC市場なのだ。

ゲーミングPCは、今やPCオタクだけのためのマシンや世界ではない。
格安PC市場とは真逆の、PCには詳しくなくてもゲームを快適に楽しめるのであれば高くても良い製品を購入したいという層向けのブランディングである。
それは、今後のeスポーツ市場の盛り上がりと成長を見据えた戦略でもある。




ROG Phoneは、そのブランド戦略をスマートフォン市場でも展開することで、スマートフォンのゲーミングユーザーを掘り起こしも狙っている。
さらにハイエンドスマートフォンを求めるユーザー向けに尖った製品と世界感でブランドを訴求し、ゲーミングPC分野への導線に繋げていくというわけである。

さて、最近のハイエンドスマートフォンは10万円を超えるものも多く、市場としては売れ筋の2万円台からの格安スマートフォンと、それ以外のスマートフォンの2極化が明確になってきている。

高性能なスマートフォンは、誰にとっても魅力的だ。
しかし高価な製品を販売する施策が弱いため、幅広い層に売るのが難しいことも事実だ。

例えば、大手キャリアのスマートフォンの場合は、
本体代金の分割購入や割引施策によって2年ごとの機種変更でも極端な負担増にはならない。

一方、SIMフリースマートフォンの場合は
MVNOとの新規回線契約伴う割引施策を利用しない限り、本体代金をそのまま負担することになる。

しかしながら、ハイエンドスマートフォンを望むユーザーは確実にいる。
特にSIMフリースマートフォンの場合は、
大手キャリアのスマートフォンにはない個性的な製品が多く存在する。

こうした市場を取りに来ている製品群は、最新技術を惜しみなく搭載した魅力的なモデルばかりだからだ。

ASUSもいち早くQualcommの最新チップセット「Snapdragon 845」を搭載した「ZenFone 5Z」を日本市場に提供するなど、ハイエンド市場に力を入れている。

ROG Phoneは、全方位に展開するZenFoneブランドとはことなり、ゲーミングに特化した専用の周辺機器を展開することでハイエンドスマートフォンの新しい世界感、市場を創り出す手法だ。




周辺機器との組み合わせで、世界感を創っているスマートフォンと言えば、モトローラの「moto z」シリーズがある。
「moto mods」は、スマートフォン背面にカバーのように取り付けることで、10倍ズームカメラや、プロジェクター、インスタントプリンターなど機能を拡張できる周辺機器だ。

これらの周辺機器はmoto zシリーズで共通のため、新しいmoto zに買い換えても周辺機器はそのまま流用できる。つまり、世界感を気に入ったユーザーをつなぎ止めておくことができるのである。




ROG Phoneは、本体左側面にUSB Type-C(USB 3.1)端子を拡張した専用の拡張ポート「サイドマウントポート」を搭載する。
付属の「AeroActive Cooler」を接続すると、ファンによる冷却で高いパフォーマンスを維持する。さらに、USB Type-Cによる充電とイヤホン出力も装備するなど、まさにゲーミングスマートフォンらしい周辺機器を用意している。




さらに2画面表示可能な拡張ドック「TwinView Dock」などユニークな周辺機器まである。TwinView Dockは、ゲームの表示とは別画面の表示が可能であるほか、2画面で動作する専用アプリでこれまでにないゲーミング体験が楽しめる。




TwinView Dockには6,000mAhの大容量バッテリー、高音質スピーカー、ファンによる冷却システムなどゲーミングに必須なハードも搭載していている。
また家庭用ゲーム機のようなパッド操作でゲームを遊びたいユーザー向けの「Gamevice」のROG Phone版も用意している。

「Mobile Desktop Dock」も、PCゲームスタイルで遊びたいユーザー向けのユニークな周辺機器だ。




ROG Phoneをドックにセットすると、モニターTVやキーボード、マウスと接続可能となるだ。ここまではよくあるドックだが、ROG Phoneのゲーミング機能と合わせることで、タッチパネル操作をキーボードとマウス操作に置き換えることができる。
3DゲームやバトルロワイヤルゲームをPC風にキーボードで操作することがきるのだ。

家庭用ゲームからの移植タイトルなどは、こうした入力デバイスがあるだけで快適に遊ぶことが可能となる。
まさにアプリの良さを引き出すには最適なデバイスである。




今回例として取り上げたGameviceを除く周辺機器は、ROG Phoneのサイドマウントポート接続であるため汎用性はない。

一方、このサイドマウントポートが今後も継続して採用されるのであれば、これがROG Phoneの武器になることは明らかだ。
より高性能なスマートフォンに買い替えても、これまで通りの周辺機器を利用して楽しむこれができるのであれば、安心して自分のゲーミングのスタイルにあった周辺機器も購入できるからだ。
そしてその周辺機器を所有するから、次のゲーミングスマートフォンもASUSを選択する理由となる。

ゲーミングスマホが日本で根付くかどうか、他社を含めどのような世界感を我々に見せてくれるのか、楽しみである。


執筆  mi2_303