11月12日、森保一監督はアジアカップ前の最後の親善試合、16日のベネズエラ戦、20日のキルギス戦に向けたトレーニングを開始した。初日は雨の中、日本代表はジョギングとリフティングのみでコンディションを調整して終わっている。

森保監督は9月の代表初招集から今回まで、GKの3人を入れ替えていない。2018年ロシアワールドカップのメンバーからは、所属クラブのストラスブールで出場機会のない川島永嗣が外れ、負傷から復帰したものの、中村航輔も呼ばれなかった。

もっとも現在招集されている東口順昭はロシアワールドカップのメンバーで、権田修一は2014年ブラジルワールドカップのメンバー。そしてそんな経験豊かな選手たちとポジションを争っているのが26歳のシュミット・ダニエルだ。

第3GKと目されているシュミットは、いつも報道陣の前を固い表情で足早に通り過ぎる。だが3回連続で招集された今回は、気持ちに少し自信が出てきたようだ。

「ずっと呼ばれているということの深い意味は……わかんないですけど、プラスに捉えて、しっかり練習に取り組んでアピールするのと、自信を持てと言うことも少しは含まれていると思うので、そこも意識したいと思います」

そう言うと笑みを見せる。中村などのライバルが活躍を見せる中で呼ばれたことをどう考えているのか。

シュミットは少しだけ胸を張り、「10月の自分のパフォーマンスは悪くなかったので」と珍しく自分を評価して言うと、すぐ顔を引き締めた。「次ですね、次です」。

ずっと招集されてもデビューできないまま終わってく選手も多数いるのが日本代表GKの世界。シュミットもその厳しさはわかっている。9月には「あまり自分に(他の選手よりも勝っている)武器があるとは思っていない」と語っていた。そんな狭き門の前で立ちすくもうとしていた選手に少しずつ力を与えているのは、森保監督のメンバーを変えない粘り強さだと言えるだろう。

【森雅史/日本蹴球合同会社】