文系学生が選ぶ「就職人気ランキング」TOP10

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就職人気ランキングの文系学生版で3位に入ったりそなグループは、りそな銀行と埼玉りそな銀行の合同採用を行っている。写真は東京・江東区にあるりそなホールディングスの東京本社 (撮影:田所千代美)

大学入試では文系人気が続いており、大規模な私立文系を中心に、志願者数を増やしている大学が多い。定員厳格化で大規模大学の難易度が上がり、併願を増やす受験生が多くなったというのもあるが、景気の好転で、文系学生の就職率が上がっていることが大きい。


リクルートキャリア・就職みらい研究所の「就職プロセス調査」によると、2018年卒大学生の卒業時点の内定率は、文系96.5%、理系97.1%。5年前の2013年卒の同時期の内定率が文系87.1%、理系91.8%とかなり差が開いていたことを考えると、文理の差は少なくなっている。

ではそんな文系学生が注目する企業はどこか――。4月20日配信の「学生2万人が選ぶ『就職人気ランキング 』 300社」で、就活生が行きたいと考えている上位300社を紹介したが、今回は対象を文系学生に絞った、「就職人気ランキング・文系学生版」の上位100社を紹介していく。

就職率好転で文系学部の需要高く

このランキングは、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が実施した、「就活ブランドランキング調査」を基にしたもので、調査対象者は、同社の就職サイト「ブンナビ!」に登録している、現在就活中(2019年春卒業・修了予定)の大学生や大学院生だ。調査期間は就活の前半戦の時期にあたる、2017年10月1日から2018年3月31日までとなっている。なお、ランキング表に2019年卒・前半の総合順位と、昨年の同じ時期に調査した(2018年卒の)文系順位を掲載している。

結果を見ていこう。

1位は昨年3位の全日本空輸(ANA)、2位は昨年9位の日本航空(JAL)という順で、総合順位と同じ並びになった。

昨年までは文系のメガバンク人気が根強かったが、今年は様相が少し異なっている。

昨年の文系順位は1位三菱UFJ銀行、2位みずほフィナンシャルグループ、3位ANAだった。それが、3位だったANAが首位に躍り出て、国内の2大エアライン会社がワン・ツーを奪取。要因は、2020年の東京五輪の開催や、インバウンド(訪日外国人旅行客)の増加で、エアライン業界を成長企業と評価し、志望する学生が多くなっているからと思われる。

一方、メガバンクは、人員削減方針や採用数の削減などが伝えられており、文系学生の”テッパン人気”から一歩後退した状況だ。そうしたメガバンク票の一端が、航空・旅行業界やメガバンク以外の金融などへと、分散したのかもしれない。

3位にりそな、メガバンク以外の金融に人気

その受け皿になったのが、3位にランクインしたりそなグループだろう。昨年の文系順位は14位だったので、かなりのジャンプアップだ。

ランクアップの要因として考えられるのは、採用数を大きく減らしていないこと。同グループの採用はりそな銀行、埼玉りそな銀行の合同となっているが、2017年11月28日配信の「最新版『新卒を多く採用する会社』トップ200」を見ると、昨年(2018年卒)の採用からメガバンク勢が採用数を減らしている中、りそなグループ(表記は「りそなホールディングス」)は、逆に採用数を増やしている。さらに、採用実績校や残業時間といった、ほかの銀行が出さない情報についても開示する姿勢があり、そうした点も学生に評価されたのかもしれない。

4位には昨年文系順位2位のみずほフィナンシャルグループが入り、5位日本生命保険、6位野村證券、7位大和証券グループと、金融業界の会社が続く。昨年1位の三菱UFJ銀行は9位とトップ10には踏みとどまった。

それ以外のトップ10には、8位にJTBグループ、10位ANAエアポートサービスが入り、トップ10は金融業界か、航空・旅行業界のいずれかになっている。

おおむね総合順位と変わらないのが文系順位の傾向だが、総合順位との差から、「より文系に人気のある企業」について探してみた。15位のバンダイ(総合37位)、33位のホテルやレストランなどを運営するPlan・Do・See(総合117位)、51位の婚礼施設運営のエスクリ(総合178位)、56位ニュー・オータニ(総合91位)などが挙げられ、ホテル・レジャー系の台頭が目立つ。



調査について
調査方法:文化放送キャリアパートナーズ運営の就職サイト「ブンナビ!」上でのWebアンケート、文化放送キャリアパートナーズ主催の就職イベント会場での紙アンケート、文化放送キャリアパートナーズ就職雑誌の同送ハガキアンケート
※投票者1人が最大5票を有し、志望企業を5社まで選択する形式
調査期間:2017年10月1日〜2018年3月31日
回答数:19888(うち男子7716、女子12172/文系16460、理系3428)
総得票数: 66386票 
※男女比を1:1にするため、男子得票数に1.577501296を掛けたポイント制とした
「就職」を重視する学生は、「企業イメージ(企業価値)」よりも「仕事イメージ(仕事価値)」に重点を置くとの仮説の下、ランキングを算出。就職者誘引度は学生が企業イメージと仕事イメージのどちらを企業選択時に重視したかという回答によって算出。企業イメージのみで投票した場合は就職者誘引度ゼロ、仕事イメージのみで投票した場合は100とし、得票平均値を就職誘引度としている。総得票数×就職者誘引度=就職ブランド力とし、就職ブランド力を基にランキングを計算。社名はアンケート上の名称で、1採用窓口=1社名を基準にしている。グループで採用が一本化されている場合は「○○グループ」等で表記