韓国メディアの亜洲経済はこのほど、韓国貿易協会北京支部が1日に発表した「中国最低賃金動向と中韓対比報告書」の内容を紹介、「中国はもはや安価な労働力市場ではなくなった」と伝えた。(イメージ写真提供:123RF)

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 韓国メディアの亜洲経済はこのほど、韓国貿易協会北京支部が1日に発表した「中国最低賃金動向と中韓対比報告書」の内容を紹介、「中国はもはや安価な労働力市場ではなくなった」と伝えた。

 記事は同報告書を引用し、韓国の2015年の最低賃金が5580ウォン(約517円)であったのに対し、中国の15年の5大都市(北京、上海、天津、広東、深セン)の平均最低賃金が3303ウォン(約18元、約306円)だったと説明。これは韓国最低賃金の約6割の水準であると指摘、「中国はもはや安価な労働力市場ではない」と、中国製造業のコスト優位が失われたことを指摘した。

 さらに、中国の最低賃金の上昇が中国に進出している韓国系企業に与えている影響を紹介。韓国貿易協会北京支部の関係者は「中国の最低賃金が絶えず上昇しているため、韓国系企業には生産性を向上させる必要が生じており、また賃金と成果を結び付けた給与体系を構築することも必要だ」との見方を示した。

 韓国貿易協会北京支部のある代表者が指摘した2つの対策のうち、後者は俗に成果主義賃金体系と呼ばれるものだ。従業員の意欲を向上させ企業の成績を上げること、さらに優秀な人材の確保や給与を予算化するなどの目的がある。成果主義賃金体系にはデメリットもあるされるが、韓国系企業がこうした対策に迫られているのは、中国の最低賃金上昇の影響を明らかに受けているからだ。

 また同報告書によれば、10年から15年までの中韓最低賃金の比は40.3%、47.6%、51.1%、53.9%、53.8%、59.2%と上昇の一途を辿っており、「5年という短期間で最低賃金の比は20%近くも上昇した」と表現している。

 厚生労働省によれば、15年の日本の最低賃金の全国平均は798円であり、14年度から18円上昇(約2.3%上昇)した。中国の14年の最低賃金は15.6元(約256円)であり、1年で18%も上昇した。中国の人件費が日本に追い付くのはそれほど遠い将来ではなさそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)