関東一vs青山学院
公式戦デビューとなった竹井 丈人(関東一)。2回に本塁打も放った
昨年夏(試合レポート)、秋(試合レポート)と共にベスト4まで勝ち進んだ関東一と、登録選手16名と少ないながらもここまで勝ち進んできた青山学院の一戦。なんといっても注目は、身長183センチ体重85キロ、走攻守全てに長け、特にその打撃に注目が集まる関東一・オコエ 瑠偉である。オコエを中心に関東一が序盤から試合を引っ張る展開が予想されたが、その予想は大きく外れることとなった。
1回表、青山学院の攻撃。先頭大塚 理貴が四球で出塁すると、その後、三者連続四球で青山学院が1点を先制する。さらに2回の表にも、先頭8番中島 多一が右安打で出塁すると、2番永嶋 吾郎の適時左安打で1点を追加し、2対0と青山学院がリードすることになった。女子生徒が中心となる青山学院側のスタンドからは、大きな歓声が上がり、球場は青山学院ペースの雰囲気となっていた。
どうにか悪い流れを払拭したい関東一は、続く2回裏に反撃を仕掛ける。7番日原 竜平が右二塁打で出塁し、続く8番佐藤 佑亮が四球となり、一死一、二塁のチャンスとする。打席にはこの日先発の竹井 丈人。竹井がフルスイングした打球は大きく左柵を超え、一振りで関東一が逆転に成功。3対2と関東一が1点リードする形となった。
その本塁打の興奮が冷めやらぬ中、球場に一つの快音が鳴り響く。
「打った瞬間いったと思いました」と語るこの打球は低弾道。高速の凄まじいライナーで本塁打となり、観客を驚愕させた。打ったのはこの試合注目のオコエ。周囲の期待に応える印象的な本塁打となった。結局この回、竹井、オコエの二者連続本塁打で、関東一は4点をもぎ取り、4対2と試合をひっくり返した。
なんとか反撃をしたい青山学院は3回に石野田 颯馬の本塁打、5回に同じく石野田の適時打で2点を追加するもチャンスはここまで。序盤中盤と、会場の雰囲気から青山学院ペースを作り出していたが、徐々に関東一が打撃面から流れを引き寄せる展開となった。
猛打賞のオコエ瑠偉(関東一)
3回以降、関東一が得点したのは4回と7回。4回裏は、オコエ 瑠偉が大勢を崩しながらも右安打を放ちチャンスメイク。「それまでの打席で、アウトコースのスライダーを打てなかったので、自分なりに考えて打ち込んでみました」と語るこの安打から、オコエは盗塁を成功させ二進。さらに、2番井橋 俊貴が内野安打で出塁し、4番森山 将の併殺崩れの間にオコエが生還。5番五十嵐 滉希の左安打で井橋も生還し、2点を追加した。
6回裏には、オコエが三塁打を放つも得点にはつながらず。7回裏は、四死球から作り出したチャンスで、2番井橋 俊貴が適時三塁打を放ち、2点を挙げる。
終わって見れば、8対4。序盤でつまずき、苦しみながらも、オコエの猛打賞4打数3安打(うち1本塁打)の活躍でペースを取り戻し、関東一が準々決勝進出を決めた。
試合後、関東一米澤 貴光監督はこう振り返る。「いつも練習試合をやらせていただいている青山学院さんですが、毎年大きく成長してきているので、苦しい試合になると思っていました。夏に向けて非常に良い財産となる試合でした。オコエに関しては、とにかく塁に出てかき回すのが仕事なので、それができていましたね」
少し不安が残った序盤であったが、そこに関しても、「先発の竹井は今日が公式戦デビューでした。緊張していた部分もありますが、力はあるのでこれからに期待しています。5回まで投げてくれたのは大きかったですね。2年生バッテリーでよく頑張ってくれました」と語った。
どのチームも、照準を合わせているのは夏の大会。そこに向けて、春の大会は多くを試しながら1戦1戦成長していく必要がある。今回の戦いは、関東一の今後の成長をさらに促進させる一戦であった。
関東一の次なる対戦相手は早稲田実業。注目ルーキー・清宮 幸太郎擁する早稲田実業相手に、再びオコエ中心の打線が機能し、大打撃戦となるかが見所となる。
(文=高校野球ドットコム編集部)