柏井vs稲毛
3安打を放った吉野(柏井)
昨日の天気とはうって変わって、素晴らしい天気に恵まれたこの日の千葉県野球場。第一試合は柏井vs稲毛。稲毛はまだ記憶に新しい2012年の夏、Aシードであった拓大紅陵を破るなど、今や有力校としての立ち位置を確かにしている学校だ。
試合は予定通り9時より開始された。稲毛先発は右腕の小澤。基本は右横手から投げるが、時折上手からも投げるなど相手に的を絞らせない変幻自在の投球で打者を翻弄する投手だ。
1回表、柏井の攻撃は相手守備のミスから先に1点を先制する。4回表には、無死二塁のチャンスを作り、4番・白鳥の適時打で1点を追加。後続が倒れるものの、なおも得点圏に走者を置き打席に立ったのは、7番・吉野。吉野はこの場面でライトオーバーとなる二塁打を放ち、さらに1点を追加。3対0とリードを広げた。
6回表、柏井は二死ながら二塁に走者を置き、迎えるはこの日2安打を放っている7番・吉野。「投球に惑わされることはなかったです。狙い球などは決めずスイングしました」という打球は、この日3本目となる二塁打となり柏井が追加点を挙げた。7回表にも5安打を集めて4得点を挙げ、8対0。稲毛にとっては痛すぎる追加点となってしまった。
完投勝利した眞下(柏井)
黙っていられない稲毛も反撃開始。7回裏、ほぼ完璧な投球を見せていた柏井・眞下を攻めたて、一死満塁のチャンスを作る。「緊張してしまいましたね」と眞下が語るように突如崩れてしまった投球を見逃さなかった稲毛だったが、結局このチャンスには適時打での1点しか奪えずコールドゲームが成立。柏井が打撃力を見せて、8対1で稲毛を破った。
この日、3本の安打が全て二塁打と大活躍だった柏井・吉野は、「自分の打撃ができて良かった。3二塁打は本当に嬉しかったです。柏井は打撃で勝っていくチームなのでらしさを出せて良かった、次も今日みたいな試合展開で勝てるようにしたいです。」と話してくれた。柏井は打撃のチームと自負しているだけあってか、冬はほとんどボールを使った練習は行わず、下半身強化に重点を置いて練習してきたそうだ。今日の試合は柏井ナインにとっても、その成果を存分に発揮し、理想の試合運びを展開できたからこそ満足していた。
1失点、完投勝利の柏井・眞下は、「6回まではバックに助けられながらも自分の投球ができた。相手打線は真っ直ぐを狙っていると感じたので、変化球を多投しました。久々に満足する投球ができました。」唯一崩れてしまった7回の投球については、「詰めの甘さが出てしまいました。この試合、初めて迎えるピンチに動揺してしまいました。次の試合に向けての課題です。」と良かった点は把握しつつも、次を見据えていることからこの勝利はあくまで通過点であることを示した。
一方敗れてしまった、稲毛ナイン。序盤、互角に戦うも大事な場面での失策が響いてしまい相手に得点を許し、試合の流れを手渡してしまった。再び、戦国・千葉県の強豪校を脅かす存在へ返り咲けるか。ここから、夏に向けての準備期間が大事になってくる。
(文=高校野球ドットコム編集部)