二松学舎、淡々とした試合運びながらも、紅葉川に8回コールド勝ち

都立紅葉川のエースで4番・増子君

 2回戦で都立総合工科をタイブレークの末に下して進出してきた都立紅葉川。昨夏の東東京代表(試合レポート)で秋も都大会準優勝(試合レポート)で、甲子園に夏春連続で出場を果たしている二松学舎大附に挑むことになった。

 都立紅葉川としては背番号は11ながら、実質エースで4番という増子君が、二松学舎大附打線に対してどういう投球をするのか。また、二松学舎大附の大江 竜聖君をはじめとする投手陣に対して、都立紅葉川打線がどう対応していかれるのか、というところがポイントだった。ところが、結果的には都立紅葉川は何もすることができないまま、二塁へも進むことができず完敗だった。

 試合後の田河清司監督の言葉がすべてだった。「オレは試合前から、どんな試合になるのかと、ワクワクしていたんですけれどもね。何だか拍子抜けでしたね。野球になりませんでした。相手の大江君の投球が上手かったということもありましたけれども、何もできませんでしたね。死球があって、『これで完全試合じゃなくなった』で、(7番沼君に)やっと一本ヒットが出て『ノーヒットノーランにならなくてよかったぁ』ですからね」完敗を認めざるを得ない展開だった。

 二松学舎大附は初回、大江君が簡単に3人を抑えるとその裏、先頭の平野 智也君が右前打で出ると、バントで進めて三口 英斗君の安打で一三塁となり、暴投で先制。さらに内野ゴロの間に2点目が入った。増子君は、その後は落ち着いて投げられていただけに、いきなり安打されて少しバタついたところを捉えられたという感じだった。

 以降は試合そのものが淡々と流れていった。二松学舎大附打線も、増子君ペースにハマってしまったかのように、凡打が続く。こうして、試合そのものも速いテンポで流れていった。

スイスイと投げた大江 竜聖君(二松学舎大附)

 そして6回、二松学舎大附は6番今村 大輝君と続く平野 潤君の連続二塁打にバントと内野ゴロで2点を追加。そして、7回にも二死走者なしから、失策を機に白戸君、平野 潤君のタイムリーで、さらに2点を加えて、8回も二死から島根 寛人君、三口君の連打で得点してコールドゲームとなった。

 とはいえ、二松学舎大附としても堂々とした勝ち方でもなかった。市原勝人監督は、「今日は、岸田(康太)を投げさせたいと思っていたのですが、夏のシード権のかかる試合ですし、頭から行くのには、ちょっと不安もありました。それで、こんな展開の試合になりましたから、結局8回二死からということになってしまいました」と、投手起用に関して話してくれた。

 また、試合の展開そのものに関しては、「センバツの余波というよりも、センバツそのものからずっとこんな感じで、タイムリー打も出ないし、淡々としていましたね。今は、こういう状況からどうやって、脱却するのかというところです」と3月からの状況を明かした。

 もっとも、その対策の具体的な方法論としては、指導の現場としても難しいテーマのようだ。「昔みたいに喝を入れたり、気合を入れるということをしても、必ずしもそれがいいとは限りませんから」と、慎重だ。

 そうした中で、「2年生の多いチームですから、1年生が入ってきて、それで刺激を受けてくれればまた変わってくるところもあるでしょう」と、市原監督は新たな刺激に期待している。現在は、静観しているという姿勢でもあろうか。

(文=手束 仁)