江戸川区近隣対決は、江戸川が7回、集中打で篠崎を下す

都立篠崎・宮澤 祐馬君

 江戸川区近隣都立校対決が、江戸川区球場で実現。言うならば、“江戸川区ダービー”である。

 中学野球部の活動が盛んな江戸川区でもある。また、新チームができて夏休み最初の練習試合を行った間柄でもある。そんな、お互いによく知った仲同士の対戦でもある。

 昨秋の実績ということで言うならば、初の都大会ベスト8(試合レポート)に残ってシード校となっている都立篠崎に都立江戸川が挑むという形になった。

 都立篠崎には、秋の躍進の立役者でもある宮澤 祐馬君が健在だ。180cm66kgというスリムな長身投手だが、スライダーを中心としてキレのいいスリークォータータイプで、そうは打ち崩せないだろうという印象である。

 これに対して都立江戸川の浦壁君は、やや変速気味なタイプだ。足をぐるっと回すようにして高く上げて手の位置も上からだったり少し斜め横だったりと、工夫してトリッキーに投げ込んでくる。

 このタイプの異なる両投手の投げ合いは、小雨の降りしきる悪コンディションを振り払うような好投手戦となった。5回を終わって0対0で、都立篠崎は2安打で都立江戸川は1安打という内容だった。両投手がお互いに持ち味を出し合っていた。

 興味は先制点がどうなるのかなというところに絞られたが、都立篠崎が6回、二死走者なしから5番山本紘平君が右中間二塁打すると、続く川畑君も中越二塁打して均衡が破れた。山本君は、前の打席でもクリーンヒットしており、浦壁君に最もタイミングが合っていた。

 これで都立篠崎が主導権を握るのかと思われたが、その裏すぐに都立江戸川も反撃。やはり二死走者なしから2番廣瀬君が安打で出ると、相手失策もあって二三塁となる。ここで、4番加藤君が思い切りよく引っ張った打球は一塁線を破って2者を帰す逆転打となった。

独特の足の上げ方の都立江戸川・浦壁君

 ところが、都立篠崎も7回、またしても二死走者なしから、1番加藤智君の安打と四球で一二塁とすると、3番鈴木湧君の中前打で再び同点とした。牛久保和哉監督と敷いては1、3、4回と無死で出た走者をしっかりとバントなどで進めながらも得点できなかったのに、二死からの走者で得点できるという、指揮官としては何とも言えない展開になった。

 再度同点となって緊張感の増した展開となったが、その裏都立江戸川は先頭の6番熊谷君が四球で出ると、しっかりとバントで送る。二死二塁となったところで、9番山本拓君が中越三塁打してまたも都立江戸川が突き放す。

 そして、ここから都立江戸川の怒濤の攻撃が始まって、吉田君がタイムリー打して続くと、失策を挟んで吉識君、加藤将君がそれぞれ左へ右へと二塁打するなどで大量5点が入った。

 ここまで好投して踏ん張ってきた宮澤君も、冷たい雨の中で疲労もあってかやや集中を欠くようにもなっていた部分もあったようだ。

 一方、最後まで粘って自分の投球を続けられた浦壁君は、しっかりと完投した。芝浩晃監督も、「投手は4枚入れていますから(リリーフを)準備はしていたのですけれども、こういう展開でなかなか代えられなかったですけれども、よく粘って投げてくれました。最上級生になって、ここまでコツコツとやってきた成果が出てきているのでしょう」と、努力を評価していた。

 また、7回の集中攻撃に関しては、「調子に乗りやすいタイプの子が多いのですけれども、今日はそれがいい形で出たということじゃないでしょうか」と、喜んでいた。

(文=手束 仁)