神戸北vs東灘
先発の上中(神戸北)
神戸北の2枚看板の好投が光った。神戸北が1回表に1番仲、2番増原が連続四球で出塁し、3番中川心の犠打で一死二、三塁とすると、4番中川貴の2点適時打で先制する。
そのあとは先発の上中 賢弥(右投げ右打ち 168センチ63キロ)が好投を見せた。球速は、120キロ前後ながら、手元で鋭く滑るスライダー、カーブをコーナー自在に投げ分け、ゲームメイク。走者を出しながらも、しっかりと要所を締めていた。上中は、「変化球の制球力には自信があり、今日はしっかりと投げることができました」とコメント。
率いる神戸北の小川監督は、「これまでの練習試合で立ち上がりで打たれることがあったのですが、今日は低めの制球力を気を付けて投げていましたね」と上中の投球ぶりを評価していた。
上中の特徴としては、体の使い方が非常に上手く、ステップ幅が広い下半身主導のフォーム。テイクバックの動きを見ると、しっかりと内回りの旋回をしていきながら、トップにもっていき、打者よりでリリースすることができており、さらに体ができてくれば球速、球威も増してくるだろう。
打線は東灘の右サイド・伴野の投球に苦しむ中、実に粘り強い投球ができていた。
9回裏にマウンドに登った松原(神戸北)
そして9回裏にマウンドに登った松原 慎。183センチ75キロと一目で目立つ大型右腕である。ベンチ横から行っていたキャッチボールから柔らかい腕の振り、回転の良いボールが目についたが、実際にマウンドに上がっても、素質の良さが光った。
ランナーがいないところからでもセットポジションから始動、左足をゆったりと上げたときのバランスの良さ、腕の振りの鋭さといい、スムーズな体重移動の高さといい、技術的な土台が良いのだ。この上背にして、技術的にもしっかりしている。
その証拠にストレートの質が良い。球速は125キロ〜130キロとスピードガン的には普通だが、東京都で135キロ級のストレートを投げた投手と勢い的には変わりなく、何よりも回転が良い。将来的には、135キロ〜140キロまで速くなる潜在能力を秘めているのだ。
そしてもう1つの武器が打者の手元で大きく落ちるカーブ。しっかりとブレーキが効いたもので、これは、腰の横回転が抑えられ、縦の動きで投げられないと再現できないもの。先輩に教えてもらった球種のようだが、本人にとってはこの球種が、調子のバロメータになるようだ。
この日は2奪三振で試合を締めたが、「調子が良かったです」と振り返った。 去年は上中が背番号1、松原が背番号10だった。この2人が両輪となって活躍すれば、神戸北も侮れない存在となるだろう。2人ともぜひ高いレベルを見据えて、取り組んでほしい。
(文=河嶋 宗一)