こんなの絶対無理。激ムズ自衛隊公式ゲーム「自衛隊コレクション」をやってみた死んだ
自衛隊が公式ゲーム「自衛隊コレクション(Jコレ)」(iOS)をリリースした。タイトル画面には2頭身のかわいいキャラ。ポップな音楽とユルいグラフィック。操作は指一本だけ。
しかしプレイしてみると「これは自衛隊の選抜試験なのでは……」と天を仰ぐ激ムズアクションだった。
自衛隊コレクションは、日本ではなく「おうち」の平和を守るゲーム。
家が留守になるあいだ、部屋に置いていた自衛隊フィギュアたちがトラブル解決のため出動する「トイ・ストーリー」的な世界だ。
さっそく最初のステージ、「守れ!家庭菜園」で陸上自衛隊が出動。
部屋の中の障害物を避けてゴームまで進むミッション。
チュートリアル無しでいきなり現場に投入される。
画面左から隊員が歩き出す。わけがわからぬまま、本棚にぶつかってゲームオーバー。
リプレイ。画面を指でホールドすると匍匐前進することがわかる。本棚の下をズリズリ進むが、その先にある画鋲にぶつかってゲームオーバー。
リプレイ。匍匐前進から指を離すとジャンプすることがわかる。しかしジャンプの幅が超狭い。画鋲を飛び越えようとするが距離が足りずゲームオーバー……。
当たり判定が大きいし、タイミングもシビア。そもそも最初に何も教えてくれない。
ゴールは目の前なのに悔しい。二十回くらい繰り返し、なんとかクリアする。
次は海上自衛隊のミッション。
お風呂に浮かぶ「護衛艦きりしま」を操作して、魚を避けながらゴールまで進む。
……が、やはり魚のタイミングがシビア。「きりしま」の動きも遅い。
魚に激突し、何度もお風呂に轟沈する「きりしま」。
続く航空自衛隊のミッションでは、F-2戦闘機を操って前から飛んでくるゴミを避けるのだが、突然下からゴミが飛んでくるなど卑劣な展開が続く。
この難易度、絶対「わざと」である。
ファミコン時代などのゲーム黎明期は、バランス調整が不完全なままリリースされるゲームもあった。
子供たちは「スペランカー」や「たけしの挑戦状」など理不尽な難易度に苦戦し、「クソゲー」と言いつつ立ち向かった。
最近のスマホゲームは、わざと「クソゲー」「激ムズ」の難易度にしてヒットを狙うアプリがある。
理不尽でも面白いゲームならSNSで拡散される。ゲーム実況動画でも理不尽さがウケる。
「理不尽のネタ化」だ。
激ムズ系の代表例は、昨年海外を中心にヒットした「Flappy Bird」。
ただ「鳥が土管を避けて飛ぶだけ」のゲームだが、あまりの難易度にSNSで悔しさをぶつける人が続出。
結果、世界5000万人以上がダウンロードする大ヒットになった。
あまりの反響の大きさに、作者がストアからアプリを取り下げてしまった。
また、伝説のクソゲーとして名高い「トランスフォーマー コンボイの謎」は「キュートランスフォーマー 帰ってきたコンボイの謎」(iOS/Android)としてスマホアプリで復刻。わざわざ当時の難易度まで再現。何も知らないと開始後2秒で死んでしまう。
「なんで帰ってきたんだ」とブーブー言いながらプレイしたのも記憶に新しい。
「自衛隊コレクション」も、激ムズ系の流れをくみ、わざと理不尽な難易度に設定されている。
もちろん、ただ理不尽なだけではすぐに捨てられてしまう。
操作を指一本にする。ゴールを目の前に用意する。ランダム性を抑え、覚えればクリアできるようにする。
数々の調整が入った上で、作りこまれた「理不尽」に仕上がっている。
できるはずなのにできない。悔しくて悔しくて何度もプレイしてしまう。
この理不尽な難易度も「自衛隊公認」である。
チュートリアル無しで現場に投入されるのも、スパルタな訓練だと思えば合点がいく。
国を守るのはそんな簡単なことじゃないのだ。
「自衛隊の厳しさ」が、理不尽のネタ化に一役買っている。
「若年層を中心に自衛隊に親近感を持ってもらう」ことを目的に作られた「自衛隊コレクション」。
プレイすると「この理不尽さを克服できるメンタルを持つ者こそ自衛隊に来てほしい」というメッセージにも見えるのだった。
(井上マサキ)
しかしプレイしてみると「これは自衛隊の選抜試験なのでは……」と天を仰ぐ激ムズアクションだった。
自衛隊コレクションは、日本ではなく「おうち」の平和を守るゲーム。
家が留守になるあいだ、部屋に置いていた自衛隊フィギュアたちがトラブル解決のため出動する「トイ・ストーリー」的な世界だ。
部屋の中の障害物を避けてゴームまで進むミッション。
チュートリアル無しでいきなり現場に投入される。
画面左から隊員が歩き出す。わけがわからぬまま、本棚にぶつかってゲームオーバー。
リプレイ。画面を指でホールドすると匍匐前進することがわかる。本棚の下をズリズリ進むが、その先にある画鋲にぶつかってゲームオーバー。
リプレイ。匍匐前進から指を離すとジャンプすることがわかる。しかしジャンプの幅が超狭い。画鋲を飛び越えようとするが距離が足りずゲームオーバー……。
当たり判定が大きいし、タイミングもシビア。そもそも最初に何も教えてくれない。
ゴールは目の前なのに悔しい。二十回くらい繰り返し、なんとかクリアする。
次は海上自衛隊のミッション。
お風呂に浮かぶ「護衛艦きりしま」を操作して、魚を避けながらゴールまで進む。
……が、やはり魚のタイミングがシビア。「きりしま」の動きも遅い。
魚に激突し、何度もお風呂に轟沈する「きりしま」。
続く航空自衛隊のミッションでは、F-2戦闘機を操って前から飛んでくるゴミを避けるのだが、突然下からゴミが飛んでくるなど卑劣な展開が続く。
この難易度、絶対「わざと」である。
ファミコン時代などのゲーム黎明期は、バランス調整が不完全なままリリースされるゲームもあった。
子供たちは「スペランカー」や「たけしの挑戦状」など理不尽な難易度に苦戦し、「クソゲー」と言いつつ立ち向かった。
最近のスマホゲームは、わざと「クソゲー」「激ムズ」の難易度にしてヒットを狙うアプリがある。
理不尽でも面白いゲームならSNSで拡散される。ゲーム実況動画でも理不尽さがウケる。
「理不尽のネタ化」だ。
激ムズ系の代表例は、昨年海外を中心にヒットした「Flappy Bird」。
ただ「鳥が土管を避けて飛ぶだけ」のゲームだが、あまりの難易度にSNSで悔しさをぶつける人が続出。
結果、世界5000万人以上がダウンロードする大ヒットになった。
あまりの反響の大きさに、作者がストアからアプリを取り下げてしまった。
また、伝説のクソゲーとして名高い「トランスフォーマー コンボイの謎」は「キュートランスフォーマー 帰ってきたコンボイの謎」(iOS/Android)としてスマホアプリで復刻。わざわざ当時の難易度まで再現。何も知らないと開始後2秒で死んでしまう。
「なんで帰ってきたんだ」とブーブー言いながらプレイしたのも記憶に新しい。
「自衛隊コレクション」も、激ムズ系の流れをくみ、わざと理不尽な難易度に設定されている。
もちろん、ただ理不尽なだけではすぐに捨てられてしまう。
操作を指一本にする。ゴールを目の前に用意する。ランダム性を抑え、覚えればクリアできるようにする。
数々の調整が入った上で、作りこまれた「理不尽」に仕上がっている。
できるはずなのにできない。悔しくて悔しくて何度もプレイしてしまう。
この理不尽な難易度も「自衛隊公認」である。
チュートリアル無しで現場に投入されるのも、スパルタな訓練だと思えば合点がいく。
国を守るのはそんな簡単なことじゃないのだ。
「自衛隊の厳しさ」が、理不尽のネタ化に一役買っている。
「若年層を中心に自衛隊に親近感を持ってもらう」ことを目的に作られた「自衛隊コレクション」。
プレイすると「この理不尽さを克服できるメンタルを持つ者こそ自衛隊に来てほしい」というメッセージにも見えるのだった。
(井上マサキ)