どんな親が野球の現場では嫌われるのか「野球太郎育児」創刊
「わしらも読みたかったわい…」
表紙に描かれた“日本で一番有名な野球親子”、星一徹&飛雄馬のイラストそばにこんな文字が踊る。
いやぁ、本当に読んで欲しかった。
さすれば星飛雄馬はどんな選手に成長していたのか? ひいては日本の野球文化も今とは違う形になっていたかもしれない……そんな妄想をかき立てたくなる雑誌が創刊した。
その名も『野球太郎育児』。
マニアック野球雑誌『野球太郎』編集部が世に問いただす、球界初の野球育児マガジンだ。
巻頭挨拶ではいきなり、野球界が直面する難題が提示される。
《かつて野球少年であふれていた少年野球チームは、いまや多くが人数を確保するのに精一杯の状況です。日本野球の未来は決して明るくはありません。(中略)もはや旧態依然とした、大人数からふるい落とす方法では、日本野球のレベルを保つことは困難だと思われます。これからは少人数のなかでも高確率で逸材を生み出す、“少数精鋭時代”に入っていくはずです》
だからこそ、保護者に向けて野球の楽しさ、厳しさ、奥深さを伝え、家族が野球を通して幸せになることを本雑誌では目指していくことになる。
壮大、且つ根気のいる計画の第一歩となる創刊号では、
◎大谷翔平、前田健太、内川聖一、安樂智大の両親に聞く「我が家の野球育児論」
◎保護者のためのキャッチボール講座
◎お母さんのための野球栄養学・基礎講座
◎野球イクメン芸人、トータルテンボス・藤田憲右による「はんぱねぇ球育論」
◎マンガ・アニメ・絵本・映画〜子どもに見せたい野球の名作
……などなど、硬軟&父・母目線を織り交ぜた独自の育児論が満載。
明子姉ちゃん、「野球育児マネー講座」「ユニホーム洗濯のツボ!」なるコーナーまであります。
他にも、脳神経外科医、Jリーグの育成指導者、陸上界の名伯楽など、さまざまな分野の名うての指導者たちが野球と育児にまつわる具体的なアドバイスを送る。
中でも個人的に気になったのは、5名の指導者による覆面座談会「こんな親は嫌われる!」だ。子どもを気持ちよく指導してもらうために、親はどのようにチームに関わるべきなのか?
□ 野球のことを全く知らない
□ 練習を見に来ない
□ 常識がない
といった、さもありなん、な話題が並ぶ中、
□ チームの方針に口を出す
□ チームの指導とはまったく違うことを教える
といった「過剰なコミュニケーション」が“嫌われる親”への第一歩になるという。
呼応するように大谷翔平、内川聖一、安樂智大ら一流選手の両親たちからも、子どもたちが育つ過程では所属チームの指導者を信頼し、決して口を挟まなかったエピソードが並んで面白い。
「指導者に色々言う親も多いと思いますが、僕自身も指導者なので嫌な気持ちもわかります。高校生にもなったら、子ども自身が決めた学校ですから、親は口を出すべきではないと思っていました」(大谷翔平の父、大谷徹さん)
「学校ではこう言われる、家ではこう言われる。これでは選手が混乱してしまいます。高校の現場でもそうやって崩れていった選手をたくさん見てきたし、それで大した成績も残せずに将来の可能性が絶たれた子どももたくさん見てきました」(内川聖一の父、一寛さん)
「中学時代や高校時代も、私は年に数回しか会わなかった。それがよかったのかなと思うことはあります。小学校時代の調子で私が関わっていたら、彼はこうなっていなかったんじゃないか…と」(安樂智大の父、晃一さん)
この「口を挟む行為」は技術的な側面だけに限らない。
家で子どもが監督・チーム・仲間の悪口を言っていたとしたら、親はどう向き合うべきなのか?
この命題に対して、内川聖一の父、一寛さんの言葉に膝を打つ。
「子どもは常に不満を持っている。そして一番愚痴ることができるのは家なんです。そこで大人が一緒になって愚痴っていたら、子どもはいよいよ洗脳されてしまう。それが子どもの成長を妨げているということに気づくべきです。これは社会に出ても同じ。どうするべきかを自分で考えることができる能力がないと、社会では生きていけません。愚痴を聞いてあげるのはいいと思いますが、前向きなアドバイスをしてあげないと」
見守る、というごく当たり前の育児論。
でも、実際に「子の親」になるとそれがなかなか難しいからこそ、気づきの多いメッセージだ。
野球に限らず、普遍的な親としての心得も満載の新雑誌『野球太郎育児』。
競争が激しい育児業界にあって、新しい試みに挑戦するこの雑誌の行く末も、しっかり見守っていきたい。
(オグマナオト)
表紙に描かれた“日本で一番有名な野球親子”、星一徹&飛雄馬のイラストそばにこんな文字が踊る。
いやぁ、本当に読んで欲しかった。
さすれば星飛雄馬はどんな選手に成長していたのか? ひいては日本の野球文化も今とは違う形になっていたかもしれない……そんな妄想をかき立てたくなる雑誌が創刊した。
その名も『野球太郎育児』。
マニアック野球雑誌『野球太郎』編集部が世に問いただす、球界初の野球育児マガジンだ。
《かつて野球少年であふれていた少年野球チームは、いまや多くが人数を確保するのに精一杯の状況です。日本野球の未来は決して明るくはありません。(中略)もはや旧態依然とした、大人数からふるい落とす方法では、日本野球のレベルを保つことは困難だと思われます。これからは少人数のなかでも高確率で逸材を生み出す、“少数精鋭時代”に入っていくはずです》
だからこそ、保護者に向けて野球の楽しさ、厳しさ、奥深さを伝え、家族が野球を通して幸せになることを本雑誌では目指していくことになる。
壮大、且つ根気のいる計画の第一歩となる創刊号では、
◎大谷翔平、前田健太、内川聖一、安樂智大の両親に聞く「我が家の野球育児論」
◎保護者のためのキャッチボール講座
◎お母さんのための野球栄養学・基礎講座
◎野球イクメン芸人、トータルテンボス・藤田憲右による「はんぱねぇ球育論」
◎マンガ・アニメ・絵本・映画〜子どもに見せたい野球の名作
……などなど、硬軟&父・母目線を織り交ぜた独自の育児論が満載。
明子姉ちゃん、「野球育児マネー講座」「ユニホーム洗濯のツボ!」なるコーナーまであります。
他にも、脳神経外科医、Jリーグの育成指導者、陸上界の名伯楽など、さまざまな分野の名うての指導者たちが野球と育児にまつわる具体的なアドバイスを送る。
中でも個人的に気になったのは、5名の指導者による覆面座談会「こんな親は嫌われる!」だ。子どもを気持ちよく指導してもらうために、親はどのようにチームに関わるべきなのか?
□ 野球のことを全く知らない
□ 練習を見に来ない
□ 常識がない
といった、さもありなん、な話題が並ぶ中、
□ チームの方針に口を出す
□ チームの指導とはまったく違うことを教える
といった「過剰なコミュニケーション」が“嫌われる親”への第一歩になるという。
呼応するように大谷翔平、内川聖一、安樂智大ら一流選手の両親たちからも、子どもたちが育つ過程では所属チームの指導者を信頼し、決して口を挟まなかったエピソードが並んで面白い。
「指導者に色々言う親も多いと思いますが、僕自身も指導者なので嫌な気持ちもわかります。高校生にもなったら、子ども自身が決めた学校ですから、親は口を出すべきではないと思っていました」(大谷翔平の父、大谷徹さん)
「学校ではこう言われる、家ではこう言われる。これでは選手が混乱してしまいます。高校の現場でもそうやって崩れていった選手をたくさん見てきたし、それで大した成績も残せずに将来の可能性が絶たれた子どももたくさん見てきました」(内川聖一の父、一寛さん)
「中学時代や高校時代も、私は年に数回しか会わなかった。それがよかったのかなと思うことはあります。小学校時代の調子で私が関わっていたら、彼はこうなっていなかったんじゃないか…と」(安樂智大の父、晃一さん)
この「口を挟む行為」は技術的な側面だけに限らない。
家で子どもが監督・チーム・仲間の悪口を言っていたとしたら、親はどう向き合うべきなのか?
この命題に対して、内川聖一の父、一寛さんの言葉に膝を打つ。
「子どもは常に不満を持っている。そして一番愚痴ることができるのは家なんです。そこで大人が一緒になって愚痴っていたら、子どもはいよいよ洗脳されてしまう。それが子どもの成長を妨げているということに気づくべきです。これは社会に出ても同じ。どうするべきかを自分で考えることができる能力がないと、社会では生きていけません。愚痴を聞いてあげるのはいいと思いますが、前向きなアドバイスをしてあげないと」
見守る、というごく当たり前の育児論。
でも、実際に「子の親」になるとそれがなかなか難しいからこそ、気づきの多いメッセージだ。
野球に限らず、普遍的な親としての心得も満載の新雑誌『野球太郎育児』。
競争が激しい育児業界にあって、新しい試みに挑戦するこの雑誌の行く末も、しっかり見守っていきたい。
(オグマナオト)