【サッカー日本代表】アジアカップ連覇の鍵は初戦にあり
4年に1度のアジアカップが9日に開幕し、12日にいよいよ日本代表が初戦を戦う。登録メンバーには本田圭祐、香川真司ら11月の親善試合のメンバーに加え、アギーレ体制で初選出となる清武弘嗣などが選ばれている。
前回のカタール大会では、就任後間もないザッケローニ監督が日本を率いて優勝。オーストラリアとの決勝戦では、延長後半に李忠成が決めた劇的なボレーシュートが記憶に新しいところだ。
過去の日本の成績は、ここ4大会で優勝が3回、ベスト4が1回。圧倒的な強さを誇っており、今大会も優勝候補の最右翼といっていいだろう。ブラジルワールドカップでの惨敗、アギーレ監督の八百長問題と明るいニュースのない日本サッカー界にとっても、この停滞したムードを払拭するために、喉から手が出るほど「優勝」の2文字が欲しいはずだ。
また、「優勝」にこだわるのはそれだけではない。アジアカップの優勝国には、コンフェデレーションズカップへの出場権が与えられる。この大会はワールドカップのプレ公式大会と位置づけられており、ワールドカップの前年に本大会の開催国で行われる。出場国は各大陸の王者、直近のワールドカップ優勝国など8か国。次の開催国ロシアで、世界の強豪国と真剣勝負ができるまたとないチャンスなのだ。
初戦にピークを合わせられない気になる初戦の相手はパレスチナ。アジアカップ初出場であり、FIFAランキングは115位(日本は54位)。よほどのことがない限り勝てる相手ではあるが、固くなりがちな初戦だけに油断は禁物だ。
注目の選手は「中東のC・ロナウド」と呼ばれるFWのアシュラフ・ヌーマン(28)。185cmの長身ながら、突破力のあるドリブルとスピードを兼ね備える。また、振りの速いキックを武器にフリーキックのキッカーも務めるとあって、そのプレースタイルはまさにC・ロナウドさながら。アジアカップ出場を勝ち取ったAFCチャレンジカップでは5試合で4ゴールを挙げ、得点王にも選ばれている。
優勝までに6試合を戦わなくてはならない、20日間の長丁場。ワールドカップでは初戦に照準を合わせればよいが、優勝を狙うアジアカップの場合はそうはいかない。グループリーグではきっちりと勝ち点を拾いつつ、決勝トーナメントに余力を残すことが必要になってくる。開催国のオーストラリアは真夏であり、選手の疲労も激しくなるだろう。主力組だけで6試合を戦い抜くのは至難の業だ。
となると、重要になってくるのはサブ組の活躍。4年前の大会でも、サブ組の伊野波や細貝の活躍でチームが勢いづいたし、値千金の決勝ゴールを決めたのは延長途中から交代で出場した李だった。
最多優勝回数を誇る日本ではあるが、オーストラリアや韓国などの強豪国と圧倒的な力の差があるかといえばそうではない。内容よりも結果を重視し、時に泥臭く、チーム全員の力で連覇を勝ち取ってほしい。
(取材・文/尾崎稚)