11月26日に開催された、道重さゆみの卒業コンサート「モーニング娘。’14コンサートツアー秋 GIVE ME MORE LOVE 〜道重さゆみ卒業記念スペシャル〜」。「道重卒コン新規」ですみません。モー娘。すごかったです。

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2014年11月26日、道重さゆみがモーニング娘。'14を卒業した。卒業コンサートの「モーニング娘。’14コンサートツアー秋 GIVE ME MORE LOVE 〜道重さゆみ卒業記念スペシャル〜」の会場は横浜アリーナ。全国の映画館でのライブビューイング、スカパー!での中継もあった。
私は新宿バルト9のライブビューイングで参戦。ただ、ひとつここで言っておかなければならないことがある。私は今の娘。のことをほとんど知らなかった。たくさんの人が「本当にすごい」と言っている道重さゆみ。そんな彼女が卒業すると聞いて、思わずチケットを取ってしまった。
いくつか最近の曲を予習していき、メンバーも見たけれど、「予習はバッチリ!」とは言えない。同行者は母(1人で行くのは寂しかったので母を連れ出した)。母に至っては私より何も知らず、知っている曲は「LOVEマシーン」くらい、道重についても名前だけを知っているというありさまだ。
「道重一筋」のペンライトを2本買い、振り続けていた約3時間。気づいたことがある。モーニング娘。'14って、すごいグループだ!
ファンの人にとっては、「当たり前じゃん」と思うことばかりかもしれない。それでも、「道重さゆみ卒コン新規」がビックリしたことにお付き合いいただきたい。

●パフォーマンスがスゴイ

娘。のみならず、ハロー!プロジェクトは「パフォーマンスがハイレベル」と言われている。PVなどを見ていても「フォーメーションダンス、すごいなー」と思っていたけれど、コンサートで見るとそのすごさがよくわかる。
汗だくになるほどのダンスなのに、笑顔なメンバーたち(ただ、道重の卒業を思うと泣いてしまうのか、笑顔と号泣が交互だった)。歌も、多少クセがある歌い方のメンバーはいるけれど、生歌をしっかりキメていく。
強く印象に残ったのは小田さくらと鞘師里保。小田はボロボロに泣いても声量がブレず、しっかりと歌が耳に届く。鞘師はダンスのキレがすさまじく、全体的にクールなイメージがあったのだが、道重に歌の最中チューされてマジ照れしていたのがめちゃくちゃかわいいなと思いました(小学生並の感想)。
表現力でいうと、道重と譜久村聖が目を引いた。なんだか色っぽいのだ。全体的に若いメンバーが多い中、大人な曲を歌ってもサマになるのは、譜久村たちの醸し出す雰囲気によるものだろうか。

●キャラが面白い

今回の卒コンは、そんなにたくさんMCがあるわけではない。それでも、メンバーのキャラが個性たっぷりなのは伝わってきた。
道重卒業に伴い、新体制が発表された。新リーダーに任命されたのは譜久村、サブリーダーは引き続き飯窪春菜。そして新たに生田衣梨奈の名前が挙がった。横アリはざわめいていたし、ライブビューイング会場もざわざわした。生田が堂々と言い放った台詞がコレだ。「これが現実です」。なんだそれは?
卒業する道重へのメッセージでは、佐藤優樹が魅力的だった。子供っぽく、明るく、道重への愛を告げる子犬のような佐藤。でも、最後に「卒業おめでとうございます」というのに変な間がある。ああー、言いたいけど言いたくないんだ……。言った瞬間、泣きながら道重に飛びつく。もらい号泣してしまった。
あっ、途中で出てきたOG(特に中澤裕子パイセン)はやっぱり偉大でした。一見怖い先輩と、一見生意気な後輩……なんだか娘。ってヤンキーの上下関係っぽい雰囲気があるんですね。

●高い対応力

今回のコンサートは、途中で道重にトラブルがあり、万全の状態で行われたものではなかった。いくつか演出を大きく変更した点もあっただろう。
それでも、メンバーは動揺を表に出さなかった。ライブビューイングだとメンバーの顔の抜きカットが多いのもあって、しばらくトラブルの発生に気が付かなかったくらいだ。
特にすさまじかったのが、「好きだな君が」の前後。動けなくなってしまった道重のところに、譜久村が超ダッシュで走っていく(あまりにも美しい光景だったので、完全に演出だと思っていた)。ほかのメンバーたちも、道重が見えるようにセンターを空けて踊り、フォーメーションダンスを等間隔に調整する。これがとっさにできるって、どういう練習を積んでるんだろう?
パフォーマンス以外でも、対応力は目立った。MC中に、道重のために舞台上に置かれた椅子。ハケるときに、12期(2015年から本格的に活動開始)のメンバーがそれを自然に片づけていった。メンバー間で指示がとんだのかもしれないが、そういう行動を自然にできるのってすごくいい。

●道重はやっぱり尊かった

そしてやはり、道重さゆみである。
あまりにも美しかった。
(ここから10行くらいポエムを書いてしまったのですが、あまりにもポエムなのでカットします)
トラブルはあったし、悔し涙を流しているような場面もあった。けれど道重は最後までステージの上でかっこいい「アイドル」であろうとしていた。「かわいさのピークを今日に合わせてきた」と言っていたが、本当にそう。
終わったあと、母がしみじみ感想を言っていた。
「歌とかダンスはほかにもうまい子はいたけど、道重さんがいちばん根性があるんだね」
こっちの背筋が思わず伸びてしまうような根性と矜持。これだけたくさんの人が、道重の魅力を口々に語る理由がよくわかった。
8分にわたるファンへの最後のメッセージも、笑いを織り交ぜつつ、娘。への愛とファンへの愛を全力でぶつけるような内容だ。
「変な人たちっ。サンキュー」
「見つけてくれてありがとう」
道重さゆみのファンになってしまった。なった瞬間卒業なのはつらい! 「シャバダバドゥ〜」「見返り美人」のPVを延々見ている。美しい。尊い……。

最後の挨拶で、道重はこう語る。「後輩たちに見せたい景色がある」──それは今この横アリの景色なのだと。道重は努力と根性で後輩たちを横アリまで連れてきた。そして、私のような新規ファンの足をも動かした。
モーニング娘。'14はすごいアイドルグループだ。そして道重さゆみは、本当にすごいアイドルだった。

(青柳美帆子)