今年のエリザベス女王杯はひと波乱ある!?

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 3歳牝馬と古牝馬が一堂に介するエリザベス女王杯。桜花賞馬ハープスターこそ参戦しないものの、オークス馬ヌーヴォレコルト、秋華賞馬ショウナンパンドラ、2歳女王レッドリヴェール、昨年の覇者メイショウマンボ、ヴィクトリアマイルの優勝馬ヴィルシーナ、6歳ながら元気なホエールキャプチャなどG1馬6頭が出走する。前哨戦の府中牝馬Sを勝ったディアドラマドレも加わり、今年も豪華なメンバーが揃った。

牝馬戦で重視したいファクターは「牡馬混合戦の実績」

 牝馬戦(特に上級戦)において忘れてはならないポイント。それは「牡馬混合重賞で好成績のある馬」だ。

 3歳ながら古馬を蹴散らしエリザベス女王杯を制した馬が7年前の優勝馬ダイワスカーレット。競馬ファンに「女傑」としてなじみ深い同馬は、3歳春に牡馬混合の重賞シンザン記念を2着している。牝馬限定戦があるにもかかわらず、3歳春に牡馬混合戦に出走するのは珍しいケースだった。

 エリザベス女王杯を勝った後、牡馬混合G1の有馬記念2着。翌年秋も天皇賞2着、有馬記念優勝と牡馬を相手に勝利を手にしたが、「女傑」と呼ばれる才能の片鱗は早くから見せていた。

 ダイワスカーレットのライバルだったウオッカも、ダービーや天皇賞など牡馬混合G1を5勝している。その後に頭角を現したブエナビスタや、古くはエアグルーヴ・ヒシアマゾン・メジロドーベルなど、「女傑」と言われた牝馬の多くは重賞で牡馬と互角に渡り歩いている。

 牝馬の場合、「相手が楽」であるため牝馬限定戦を使われやすい。POG(ペーパーオーナーゲーム)をやっている人なら「楽な相手を選んだほうが賞金を得やすい」ことは理解できるはず。にもかかわらず、牡馬混合重賞を走り、なおかつ互角の勝負をしてきた馬は大いに評価すべきなのだ。

牡馬混合戦で好走 京都2200mも相性抜群のラキシス

 そんな視点で今年の出走予定馬を眺めると、おもしろさを感じさせる馬がいる。1枠1番のラキシスだ。

 この馬の今年4戦は、G2京都記念(4着)、G3中日新聞杯(2着)、G1ヴィクトリアマイル(15着)、G2オールカマー(2着)。4戦中3戦の牡馬混合戦をすべて好走してきている。実績のない東京コース、初距離のマイル戦、先行有利の展開など、条件がまるで合わなかったヴィクトリアマイルでの大敗は度外視できる。

 秋初戦で2着したオールカマーは、勝ち馬マイネルラクリマが前走の天皇賞(秋)を不利な大外枠にもかかわらず勝ち馬から0.5秒差の入線をした。また3着クリールカイザーが先週アルゼンチン共和国杯を2着。この通り、オールカマーは決して低いレベルではなかった。

 ましてやこのラキシス、昨秋は京都2200mを2回続けて走り「1着・2着」と好走している。2着はエリザベス女王杯だったが、3歳牝馬のG1(桜花賞・オークス・秋華賞)を未出走ながらエリ女を2着した3歳馬など過去に例がない。

 今年、出走した重賞戦がすべて牝馬限定戦であるエリザベス女王杯出走馬はヌーヴォレコルト、ディアデラマドレ、ショウナンパンドラ、スマートレイアー、キャトルフィーユなど。今の京都は時計が速く、秋華賞組に分がある気もする。それでも、ラキシスの「牡馬と好勝負してきた点」を評価して◎。単複を厚めに、秋華賞組との3連複フォーメーションで攻めたい。

後藤 豊(ごとうゆたか)競馬ライター。競馬雑誌『UMAJIN』で「的中秒読み! 好走を約束する品のある馬」を連載中。『競馬大予言』ではG1レースで「出走馬好走診断」を執筆している。実績、展開、パドック、コース適性などあらゆる予想ファクターを幅広く眺める予想法。G1レース前日にはBSS山陰放送のラジオ番組「土曜亭 特盛ぶんしょうDON!」で軸馬を発表中。この秋は秋華賞=ショウナンパンドラ(1着)、菊花賞=サウンズオブアース(2着)、天皇賞=スピルバーグ(1着)と本命馬が激走中でもある。