英明vs高知
投球で魅せた田中 寛大(英明)。コールド勝ちとなるホームを踏み、思わず雄叫びを上げる
「盤石」。英明の戦いぶりを一言で表現すると、この二文字に集約されるだろう。
まずは何といっても先発の最速141キロサウスポー・田中 寛大(2年・左投左打・175センチ74キロ・高松市立古高松中出身)である。
この試合、ストレートの最速は139キロに留まったものの、「真っすぐが走っていないので、変化球を低めに集めた」修正力の確かさで高知打線を8回完封。特に右打者の外角低めに沈むツーシームのキレは、田中と同じ「ライアン投法」を志向する広島新庄左腕・山岡 就也(3年)を彷彿とさせる。
打線の集中打も光った。序盤こそ自己最速137キロマークし「技巧派」から「本格派」への胎動を示した高知左腕・鶴井 拓人(2年・左投左打・173センチ70キロ・門真クレイジーボーイズ<大阪・軟式>出身)の前に苦しんだが、4回表に一死二・三塁とはじめて三塁までランナーを進めると、6番・冨田 勝貴(一塁手・2年・右投右打・169センチ70キロ・高松市立古高松中出身)がつまりながらも左前へ。
「気持ちで打った」と香川 智彦監督も褒め称えた主将の一打で2点を先制すると、この回は8番・橋本 駿輔(二塁手・2年・165センチ60キロ・浜寺ボーイズ<大阪>出身も、鶴井の得意球であるアウトコース・インコース低めストレートをいずれも見極めた後、真ん中高めのストレートを左中間に運ぶ見事な二塁打で計3点。5回にも2安打1失策で2点。
さらに5対0で迎えた8回裏にも、高知中3年春に文部科学大臣杯・第4回全日本少年春季軟式野球大会全国制覇、高知県選抜としても第8回15U全国Kボール野球秋季大会全国準優勝と、中学軟式界では輝かしい実績を持つ高知2番手・吉村 大輝(1年・171センチ70キロ・右投右打)に対し、二死から8・9・1番の3連打という一気呵成の攻めでコールド勝ちを収めた。
これでチームとしては初の決勝戦進出と、香川県勢4年ぶり(2010年の香川西以来)となる秋季四国大会決勝戦進出を手繰り寄せ、センバツ初出場へも大きく前進した英明。「地元1位なのでプレッシャーがあった」と話した指揮官の表情は、安堵以上に充実感に満ちている。
(文=寺下 友徳)