丹原vs愛媛大附
まず、愛媛大附の健闘を称えたい。強力打線を擁する丹原に対し、松尾 凛太朗(投手・右投左打・173センチ57キロ・砥部町立砥部中出身)、伊藤 一樹(捕手・右投左打・171センチ65キロ・松山市立小野中出身)の1年生バッテリーは臆せず立ち向かい初回の1失点のみで粘り7安打完投。また、9回先頭で初球を弾き返した4番・橘 卓三(3年・一塁手・右投右打・186センチ87キロ・松山市立南第二中出身)の火の出るような左前打は、3月まで部員8人にあってもチームを元気に、力強く牽引した主将の意地が見えるものであった。
ただ、この「1対0」は勝った丹原にも大きな価値がある。今までであれば我慢しきれず逆転を許していた展開の中、昨秋県大会後から取り組んできたアンダースローを完成させた余吾 賢吾(3年・投手・右投右打・177センチ60キロ・西条市立丹原西中出身)は110キロ台のストレートをコースに配しながら、勝負どころでシンカー・カーブを巧みに使い、124球で5安打7奪三振3与四死球完封。4月からコーチに就任したOBの元巨人投手・飯尾 尊雄さんの指導にも一発回答で応えた。
そして今季、6・7月で10本塁打を叩き出し、四国高校生No.1本塁打数となる高校通算46本塁打を誇る4番・越智 達矢(3年主将・中堅手・右投右打・178センチ73キロ・西条市立東予西中出身)もホームランにこだわることなく、チームプレーに徹するバッティングを披露。初回、一死一・三塁から外角高めのストレートをセカンド頭上に逆らわず打った決勝打は、彼の気持ちが込められたものといってよいだろう。
次の対戦相手は緒戦よりさらに難しい相手の宇和島東。が、この試合で得た「価値」を「経験」に変えることができれば、丹原は愛媛大附の想いを引き継ぎ、互角以上の闘いを展開できるだろう。
(文=寺下 友徳)