三本松vs坂出
6月27日(金)に行われた組み合わせ抽選会以降、常に「大会屈指の好カード」と謳われてきた今春県大会王者・第1シードの三本松と、ノーシードも昨秋は県大会王者に輝いた坂出との「キング対決」。さらに当日、第3試合で組まれた両者の激突前には、熱くなる要素を4校が整えた。
第1試合では香川中央・中務 貴之(3年・投手・右投右打・172センチ66キロ・高松市立香川第一中出身)が夏の香川大会12年ぶりの快挙となるノーヒットノーランを「1対0」で三豊工相手に達成。第2試合でも8年連続夏の香川大会初戦敗退を続けていた石田が、3月まで高松商監督を務めていた黒坂 李央監督の下、名門・尽誠学園を終始追い込む戦いを展開。最後は3対4でサヨナラ負けと力尽きたが、熱は十分過ぎるほど残ったまま、彼らはプレーボールの声を聞くことになったのである。
ただ、三本松バッテリーは冷静沈着だった。高校通算21本塁打・四国屈指の捕手として知られる黒田 圭人(3年主将・捕手・右投左打・171センチ76キロ・東かがわ市立白鳥中出身)は中学時代からバッテリーを組む最速138キロ右腕・松本 拓己(3年・投手・右投右打・180センチ73キロ)が上体に力が入り、1回に2被安打・2回にも2四球とストレートが上ずっていると判断するや、すかさず決め球をスプリットに変更。130キロ台前半の内角高めストレートを見せ球にして、同じコースからスプリットを落とす心憎い配球で、3回以降は強打・坂出打線に的を絞らせない。
それは坂出の2年生左腕・鍋島 巧(2年・投手・左投左打・173センチ68キロ・宇多津町立宇多津中出身)が最速134キロをマークしながら、1回裏に2連続押し出し含む3四死球被安打2で3失点。3回も無死から3四死球後、8番・松本に左前に運ばれ1点を失ったのとあまりも対照的だった。4回以降は鍋島も立ち直ったが、この日の松本・黒田の前に4点は重すぎたといってよい。
かくしてプレーボールから105分後、まるでクールダウンを終えたかのようにマウンドを降りる三本松・松本。その後ろには完勝を表わす「三本松4対0坂出」が刻まれていた。
(文=寺下 友徳)