脱線したいすみ鉄道の列車(4日午前、いすみ市で)

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 いすみ鉄道(千葉県大多喜町)の車両が脱線した問題で、同社は7日、大多喜町役場で記者会見を開いた。

 事故現場付近で線路の枕木が腐食していたことを明らかにし、脱線の原因との見方を示した。問題の枕木を強度の強いコンクリート製に交換するため、今月中に作業に着手する予定だったという。

 古竹孝一社長が記者会見し、「事故を重く受け止める」と陳謝した。脱線については「車両の問題ではなく保線の問題」「断定はできないが、枕木の劣化が事故の一因」と述べた。列車は事故当時、規定の速度(時速42キロ)を守っていたという。

 同社によると、事故現場に近い国吉駅から苅谷踏切までの区間では、枕木の腐食が進み、交換が必要な状態だった。事故現場付近のレール1本(約20メートル)が外向きに横倒しになっていたが、同社は、列車の脱線後、線路が劣化した枕木から外れたとみている。

 同社は2013年12月にも、西畑―上総中野駅間で脱線事故を起こしている。この時の原因は枕木の経年劣化だった。枕木とレールの接続が緩むと軌道間が拡大し、脱輪するリスクが高まるという。

 同社は過去5年間で毎年約300本ずつ、木製からコンクリート製のPC枕木に入れ替えを進めてきた。今回の脱線で問題になった枕木は、11月20日までの工期で交換する計画だった。

 事故は4日午前8時8分、いすみ市苅谷の国吉―上総中川駅間で起きた。大原発上総中野行き普通列車(2両編成)が脱線。高校生などの乗客104人と運転士1人にけがはなかった。運輸安全委員会の鉄道事故調査官が調査を進めている。

 同社は9日、重機で列車2両を線路脇に移動させ、枕木と線路を交換する。10日以降に車両を大多喜駅まで移動させる予定だ。大原―上総中野駅間の全線(26・8キロ)で安全を確認し、今月末の運転再開を目指す。