所沢市の事件現場付近の防犯カメラ映像。実行役が使ったとみられる車が映っていた(1日未明)

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 東京・埼玉の住宅で起きた連続強盗致傷事件で、東京都国分寺市で9月30日に起きた事件の実行役は2人で、いずれも翌日の埼玉県所沢市の事件に関与した疑いがあることが、捜査関係者への取材でわかった。

 警視庁と埼玉県警は、同じ指示役が住人の資産情報などを基に事件を計画し、「闇バイト」で実行役を集めて事件を起こしたとみて、強盗グループの実態解明を進めている。(石沢達洋、さいたま支局 宮川徹也)

 国分寺市の事件では、60歳代女性が男にハンマーで殴られて左腕骨折などの重傷を負い、現金数百万円を奪われた。所沢市では住宅に4人組の男が押し入り、80歳代の夫婦が刃物で切られ、現金約8万円を奪われた。

 捜査関係者によると、国分寺市の事件の実行役は当初4〜5人とみられたが、その後の捜査で2人と判明した。うち1人は所沢市の事件に関与したとして埼玉県警に強盗致傷容疑などで逮捕された佐藤聖峻(きよたか)容疑者(24)。残る1人は住所、職業不詳、森田梨公哉(りきや)容疑者(24)とみられ、県警は2日、所沢市の事件に関与したとして同容疑で指名手配した。

 2人は国分寺市の事件前に現場近くの駐車場に止めた車2台からそれぞれ降り、約1時間後に何かを抱えて戻る様子が周辺の防犯カメラの映像で確認された。

 この車2台は所沢市の現場近くで押収され、佐藤容疑者は調べに、「闇バイトに応募した」と供述し、国分寺市の事件への関与もほのめかしているという。

 国分寺市の現場の住人女性は昨年11月〜今年1月、住宅リフォーム業者の訪問を受け、家屋の修繕費として数百万円の契約を結んでおり、住宅内には多額のタンス預金があった。

 いずれの事件でも、実行役が現場周辺で別の住宅を物色した形跡は確認されておらず、警視庁などは指示役が事前に住人の資産情報などを得ていたとみている。

 所沢市の事件で埼玉県警に逮捕された3人は、それぞれSNSの「闇バイト」に応募した際、グループの上役に身分証の写真を送ったと説明。「個人情報を把握され、抜け出せなかった」「(指示役に)『逃げたら殺す』と脅されていた」などと話している。実行役への指示は、秘匿性の高い通信アプリで行われていた。

 全国で相次いだ「ルフィ」らによる一連の強盗事件でも、指示役の今村磨人被告(40)(強盗致死罪などで起訴)らは秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」を使っていた。

 所沢市の事件で逮捕された3人は互いに面識がなく、現場の土地鑑もなかった。警視庁などは、指示役がSNSで集めた実行役を恐怖で支配する典型的な「闇バイト強盗」とみている。

 東京・埼玉では、このほか9月18日未明、さいたま市西区の住宅に4人組の男が押し入り、80歳代の母親と60歳代の娘を縛って現金約10万円を奪う事件が発生。練馬区の住宅では同28日、現金約5000円や高級ブランド「ロレックス」「オメガ」を含む腕時計11本や貴金属が奪われる強盗事件が起きている。