AMDがRyzen 9000シリーズのパフォーマンスを向上させていくつかの遅延の問題に対処する新しいBIOSファームウェア「AGESA PI 1.2.0.2」をリリース
AMDが、Socket AM5プラットフォーム向けの新しいBIOSファームウェア「AGESA PI 1.2.0.2」をリリースしました。このアップデートはRyzen 5 9600XとRyzen 7 9700Xの性能向上と、Ryzen 9000シリーズのコア間レイテンシ改善を目的としています。
September 2024 AMD Ryzen™ Desktop Processor Update... - AMD Community
AMD improves Zen 5 CPU latency and performance with BIOS updates - The Verge
https://www.theverge.com/2024/9/30/24258147/amd-zen-5-cpu-performance-latency-bios-updates
AMD boosts Zen 5 official warrantied TDP to 105W, fixes Ryzen 9000 latency issue, launches 800-series chipsets | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/pc-components/cpus/amd-boosts-zen-5-official-warrantied-tdp-to-105w-fixes-ryzen-9000-latency-issue-launches-800-series-chipsets
AGESA PI 1.2.0.2では、Ryzen 5 9600XとRyzen 7 9700Xに対して、保証対象内でcTDP機能に105Wのオプションが追加されました。cTDP機能とはUEFIからTDP(熱設計電力)をコントロールする機能で、特にマルチスレッド作業負荷でのパフォーマンス向上が期待できます。
AMDによると、TDPを105Wに設定すると、Ryzen 7 9700Xの性能が10%向上するとのこと。AMDは、Ryzen 5 9600XとRyzen 7 9700Xは発売時から105Wで検証されていたため、設計限界を超えることはないと述べていますが、「TDPを105Wに設定する場合は、適切な冷却システムを用意してください」と注意を促しています。
コア間レイテンシは、Ryzen 9 9950XおよびRyzen 9 9900Xで異なるCCD(Core Complex Die)上のコア間で情報を共有する際に発生していた問題のこと。具体的には読み取りと書き込みの両方を行う際に2回のトランザクションが必要となるコーナーケースのベンチマークでレイテンシが顕著でした。
AGESA PI 1.2.0.2では、このケースでのトランザクション数を半減させることで、コア間レイテンシが削減されるとのこと。AMDは、この最適化がほとんどのアプリケーションでは顕著な違いをもたらさないもののマルチスレッド性能を駆使する特定のゲームをプレイする上で恩恵があると述べています。
さらに、AMDはX870およびX870Eチップレットを搭載したマザーボードを発表しました。このマザーボードは、グラフィックスとNVMeストレージの両方でPCIe Gen 5をサポートし、USB4を標準搭載しており、オーバークロック性能の最適化も行われているとのこと。
加えて、AMDはEXPO対応のDDR5-8000メモリをサポートすることを明らかにしました。AMDは、DDR5-8000が1:2のメモリ比率で良好な結果をもたらす可能性があると述べており、レイテンシに敏感なゲームでの性能向上が期待できるとしています。