米政府、ベトナムの海底ケーブル敷設で中国企業の排除要請
Francesco Guarascio Phuong Nguyen Joe Brock
[ハノイ 18日 ロイター] - ベトナムが海底ケーブルを2030年までに10本新設する計画を巡り、米国政府が敷設企業選定の入札で華海通信技術(HMNテクノロジーズ)など中国企業を排除するよう強く働きかけていることが、複数の関係者の話で分かった。
新規の海底ケーブル計画は、ベトナムの国営通信会社ベトテルとシンガポールのシンガポール・テレコム(シングテル)が4月に発表していた。ベトナム南部とシンガポールをつなぎ、中国が領有権を主張する南シナ海の大部分を回避する計画だ。
企業選定の入札はまだ行われていないものの、ベトナム政府や国営企業はHMNとの敷設工事協業に前向きの姿勢を示している。
関係者によると、米政府や関係企業は既に少なくとも6回、ベトナム政府関係者らと協議の場を持ち、HMNが敷設企業として歴史が浅いことや、HMNを選択した場合に米企業の対ベトナム投資が減少する可能性を強調した。
米政府はHMNが中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)のグループ企業とみている。いずれの企業も安全保障に脅威を及ぼしていると懸念し、制裁対象に指定している。
ホワイトハウスはコメントを控えた。中国外務省は「(米国のやり方は)国際ルールと事業運営方式にあからさまに違反している」と批判した。
また、現在使われているベトナムの海底ケーブルに妨害工作が行われた可能性があるとの情報を米当局がつかんでいることも、ロイターの取材で明らかになった。
関係筋によると、米当局者は今年、少なくとも2回ベトナム側と会談。衛星画像などの情報を提供し、障害が妨害工作によって引き起こされた可能性があると指摘した。
しかしベトナム政府は決定的な証拠はなく、もし破壊工作があったとしても、誰がやったのか明確ではないと結論付けたという。
米国と中国はベトナムでの影響力を競っており、昨年はバイデン米大統領と中国の習近平国家主席がベトナムをそれぞれ訪問。両国の企業によるベトナム投資は多額に及んでいる。ベトナムと中国は、デジタル「相互接続」の強化について協議していることを明らかにしている。
インターネットを介して国際的にデータが往来する海底ケーブルは米中間の技術戦争の中心。米政府は以前、中国のスパイ活動を警戒し、HMN排除を働きかけて成功したことがロイターの取材で分かっている。
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