羽田空港でも不正薬物の摘発事例は少なくない

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コカインの入ったゴム製の小袋を50個以上、体内に隠して密輸しようとした28歳の男が逮捕された。複数の報道によると、男は調べに対し「私の体の中にコカインがあったとは知らなかった」と容疑を否認している。

50袋以上を飲み込んだこと自体、驚きだ。だが体内に麻薬を隠して密輸しようとする手法は、それほど珍しくないようだ。

不正薬物の摘発事例は続々

今回のケースでは8月27日、男がカナダから羽田空港にコカインを密輸しようとしたところ、東京税関の職員が検査場で声をかけ、その後男の体内から排出された袋の中身を鑑定した結果、コカインと判明したという。

税関のウェブサイトで不正薬物の摘発事例を探すと、直近の発表だけでも8月に6件、9月に入ってからも1件ある。国際郵便を悪用したり、旅客としてスーツケースに隠し入れて空港で見つかったり、海上コンテナ貨物に入れていたものが発見されたりと、「あの手この手」で悪事を働こうとしているのだ。

不正薬物を何らかの形で飲み込み、体の中に隠す手法もチラホラ事例がみつかる。2022年10月28日の朝日新聞デジタルは、「覚醒剤入りのカプセル(長さ約6センチ、直径約2センチ)を体内にのみ込んだ状態で密輸した」疑いでスペイン国籍の男が逮捕されたと報じた。カプセルの数は102個に及んだという。

19年には、メキシコから成田空港に向かう機内で死亡した男性の体内から、コカインを小分けにした袋246個が見つかった。袋の破損による薬物の過剰摂取が原因とみられる(2024年2月8日付、時事通信)。

袋が破れれば薬物の過剰摂取、重症化も

こうした手法は「ボディ・パッキング」と呼ばれ、違法薬物の海外への持ち込み手段として横行しているようだ。医療専門情報を扱う「MSDマニュアル家庭版」には、「しばしば末端価格の高い薬物(主にヘロインやコカイン)が関係しています」「1回の旅で何百もの包みを飲み込み密輸する人もいます」といった説明がある。

不正薬物の密輸自体、問答無用で「アウト」だが、さらにボディ・パッキングが危険な手段であるのも問題だ。飲み込んだ薬物入りの袋が破れれば、「薬物の過剰摂取になり、場合によっては重い症状を引き起こします」。症状は薬物の種類によって異なるが、「けいれん発作の頻発、血圧上昇、異常な体温上昇、呼吸困難、昏睡などがみられます」と、MSDマニュアル家庭版では説明している。

先述の通り、密輸の途中で命を落とした例もある。