長岡一也さん(フリーアナウンサー)

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【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆セントウルSや紫苑Sは実績のある馬に注目

 秋競馬の開幕と言えば、東では京成杯AH。天気さえ良ければ速いタイムが出やすいレースだ。

 中山マイルのJRAレコード1分30秒3は2019年のこのレースで生まれている。ロードカナロア産駒の4歳牝馬トロワゼトワルが逃げ切ってマークしたもの。古馬になってからの成長が大きく、オープン入りしたばかりの伏兵だったが、52キロの軽ハンデを利しての逃げで初重賞制覇を達成していた。

 この時期、ハンデ重賞に出走してくるものは、なにかテーマをかかえていて、そこで生ずる積極的な戦い方がレースの魅力になっている。

 逃げ、先行、差し、追い込みと勝ち方は多彩で、この先11月のマイルCSを目標にするものが多い。

 今年は、昨年の2歳女王アスコリピチェーノが、満を持して登場している。デビューから3連勝で阪神JFを勝ち、今年は桜花賞、NHKマイルCと連続2着で、この世代ではトップクラスだ。初の中山コースに古馬との戦いという課題があるが、スタート、立ち回りがうまいので結果は出してくれると思う。

 このレースでの3歳牝馬の勝利はないが、20年にスマイルカナの2着が記録されており、それまで8頭しか出ていなかったことを思えば、悲観することはない。

 新馬戦の1400米以外は全てマイルを戦っていて、このダイワメジャー産駒からは目が離せない。

 一方、西の秋開幕を告げるセントウルSは、前開催から5週目になる中京で行われる。しかも今週までがAコースなので、荒れた内コースは避けたいだろう。左回りの重賞を意識したいし、末脚のしっかりしたものを捜したくなる。

 1200米は流れが速くなるからと出走してきたのがテンハッピーローズだが、この6歳牝馬には決め手の鋭い武器がある。

 次走の予定が、米G1BCマイルで、スピードがもとめられるのでいい経験になるだろうと渡米へ向け、ここから始動する。ただスプリント戦は新馬戦で勝って以来になるので、ここはとにかく納得できる走りであればというところかもしれない。それでも、東京のヴィクトリアマイルを14番人気で速い流れを差し切った実績は大きい。

 そしてここは、昨年の最優秀スプリンターママコチャの底力も無視できない。今年の高松宮記念の8着が気になるが、あれは道悪が全てで、全6勝を挙げているこのシーズンなら、この馬の立ち直りに期待してみたい。

 秋華賞トライアルの紫苑Sは、はっきり本番が見えてくる一戦だ。上位3頭に入ることを狙って、ここはボンドガールとミアネーロを素直に取り上げておく。

 これまで重賞2着3回のボンドガールは、その中でも後方から最後の直線で前をこじあけて最速の上がりでアタマ差だった前走のクイーンSが光っている。

 ミアネーロは、オークスは大敗したが、フラワーCの勝ち馬で、中山は3戦2勝の巧者だ。春からの成長が見られる一頭だ。

「秋競馬 ここから躍進 願い込め」