そして逆に、工事完了後に支払うと約束していた工事費の残りを支払うよう求められてしまう。これには井出さんもブチ切れ。事情をすべて説明した。業者も逃げ腰になるなか、古くからその会社で勤める上層部が誠実に対応してくれ、どうにか折り合いはついたが……。

◆業者選びから完成まで慎重に

「途中、業者との話し合いがうまくいかなかったことから、弁護士の無料相談なども利用しました。そのときは、『業者のほうに問題があるため、残りの料金については支払わなくてもよいのでは?』との回答があったため、訴訟も考えました」

 けれど、離婚や著作権問題など幅広い分野で弁護を担当する弁護士に相談したところ、「訴訟になっても思い通りに修繕させるのは難しいし、修繕が終わるまで残金を支払わないと別の問題が出てくる可能性が高いというようなことを言われました」と井出さん。

「ほかにも、契約時にサービスすると言っていた商品券の話も忘れられているなど、とにかくいい加減な対応でした。お墓を建て替えする人も減り、業者の情報も少なくなっているので、工事に立ち会うなど慎重に行動してほしいです」

 お墓の建て替えには、少なくとも数十万円単位のお金が必要になる。安心して任せられる業者に依頼できれば嬉しいが、今回のようなケースに巻き込まれる可能性もあるだろう。お墓参りのたびに嫌な気持ちにならないよう、業者選びから完成まで慎重に行動したいものだ。

<TEXT/夏川夏実>

【夏川夏実】
ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Twitter:@natukawanatumi5