大阪駅すぐの駅ビルに似合わぬラグジュアリー空間…日本の食堂文化を凝縮・進化させた「食堂 一石三鳥」
7月31日、JR大阪駅西側に開業した駅ビル「イノゲート大阪」。
【写真】商業施設の飲食エリア内にこんな隠れ家空間があったなんて…
2階から5階に設けられた飲食エリア「バルチカ03」が大きな注目を集めているが、他の駅チカの飲食エリアと較べたこちらの特徴は「03(おっさん)」という名の通り梅田で働く30代後半~50代の男性をメインターゲットとしているところ。中年男性向けと言っても大衆居酒屋ばかりでなく、大人なリッチムードあふれる隠れ家空間が設けられているのが魅力だ。
中でも5階の「食堂 一石三鳥」は光っている。「一石三鳥」は2020年10月、東京・新橋で焼き鳥店「厳選串焼 一石三鳥」を開業したのを皮切りに、"隠れ家感"をコンセプトにした焼肉店、日本料理店を展開するブランド。「食堂 一石三鳥」はその新業態で、和洋中の食材、料理技法を駆使した逸品をおまかせコース(10品13000円)でいただくというスタイルになっている。またドリンクもビールや酎ハイはもちろん、日本酒、ワイン、ウイスキーまで凝りに凝った品ぞろえで、料理に合わせたペアリング(6種8000円、8種10000円)もオーダーできる。真に飲み食いが好きという大人にはたまらない空間なのだ。
筆者がレセプションに訪れた際にいただいた品を一部紹介する。
【北京ダック】
パリパリにローストされた鴨をさらに藁焼きすることで香りをつけ、レバーペーストやブルーベリーソースと合えたもの。赤ワインでいただく(※今回、お酒は全てセルフチョイスした)とたまらない香りの広がり。
【鮑とキノコのカルパッチョ】
鮑にアワビ茸、なめこ、白舞茸、梅ドレッシングを合わせたもの。まさに日本の山海の珍味を凝縮した上品な味わい。白ワインでいただく。味覚の緩急を楽しむ食通向けのマッチング。
【マスカツとベジョータの生ハム】
厚身の桜鱒をカリッとカツにして、放牧されてドングリを食べて育ったイベリコ豚「ベジョータ」のハムを添えたもの。辛さ控えめのグリーンカレーソースが絶妙な味のハーモニーを引き出している。これには圧倒的にビール。山椒と柚子を使ったクラフトビール「馨和KAGUA」のBlancと一緒に。カツ×柑橘×ビールは絶対に勝利。
【ベジョータの生姜焼き】
食堂の定番メニュー・生姜焼きを贅沢に先述のベジョータで作った逸品。脂の乗った肉をバターとシェリー酒のソースでローストした背徳的な味わいは、堂々たるコースのメインディッシュの風格。古ボディーの赤ワインと共に何度も噛みしめながらいただけば口内はもはや至福の空間だ。
◇ ◇
レセプションには世界各国のインフルエンサーたちも招待されていた。日本ならではの食堂文化を凝縮、発展させたこれらの料理にどのような印象を抱いたか聞いてみた。
【中国内モンゴル自治区出身 日本在住歴17年の男性】
「内モンゴルで外食すると一品の量がとても多くてすぐお腹いっぱいになります。このように少しずつ、いろんな食材や調理法を味わえるというのは魅力的ですね。またオープンキッチンで調理の様子を見ることができるというのも個人的にお気に入りです」
【タイ出身 日本在住歴12年の女性】
「どのお料理もとても美味しかったです。どれも食べたことがないものばかりで驚きましたが、特に挙げるなら『但馬牛とイカ墨のゼッポリーネ』『鮑とキノコのカルパッチョ』『本日の魚と発酵パプリカのパエリア』は素晴らしかったです。
【タイ出身 日本在住歴7年の女性】
「屋台などがよく知られているように、タイは外食が盛んな国です。それに比べると日本の外食はもう少し、特別な日の贅沢なできごとのように感じます。こちらもラグジュアリーな雰囲気で素敵ですね。どれも美味しかったですが、デザートのお酒を使った『大人のカキ氷』が他の日本のカフェでいただいたカキ氷とは違っていて印象的でした」
経済の低迷はどこ吹く風で爛熟を極めてゆく日本の外食文化。洗練された日本料理として世界に知られる寿司、天ぷらなども元は大衆料理や外国由来の料理だったことを考えると、「食堂 一石三鳥」のスタイルは当然の帰結なのかもしれない。
食堂 一石三鳥 店舗概要
所在地:大阪市北区梅田3-2-123 イノゲート大阪 バルチカ03 5階
TEL:06-6485-8234
営業時間:①15:30~②18:00~③20:30~の三部制
定休日:木曜
(よろず~ニュース特約・中将タカノリ)