ソシエダのマルティン・スビメンディ【写真:Getty Images】

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リバプールはスビメンディ獲得に失敗

 イングランド1部リバプールは、今夏の移籍市場の最大のターゲットとしてレアル・ソシエダのスペイン代表MFマルティン・スビメンディの獲得に乗り出していたが、最終的には本人に固辞され、実現には至らなかった。

 リバプールが違約金の満額である5200万ポンド(約98億円)でオファーしたにもかかわらず、スビメンディ獲得に失敗した背景について、英紙はソシエダのイマノル・アルグアシル監督によるプレゼンテーションを取り上げている。

 リバプールは昨季限りでユルゲン・クロップ監督が退任し、新シーズンからアルネ・スロット監督を招聘。一方、今夏の移籍市場ではまだ誰も獲得しておらず、5大リーグで補強を行っていない唯一のクラブとなっている事態に、現地メディアやサポーターからは不安の声が噴出し始めていた。そんななか、スロット監督の直々の注文として獲得に乗り出したのが、日本代表MF遠藤航と同ポジションのアンカーを務めるスビメンディだった。

 スロット監督はアンカーのポジションにゲームメイクの攻撃的センスを求めるスタイルであることが知られるなか、スビメンディはこれ以上ない理想的な人材で、クラブ側も違約金の満額である5200万ポンドを正式オファーとして提示。当初はスビメンディ本人もリバプール加入に前向きと取り沙汰されていたが、最終的にはリバプールのスポーツ・ディレクターを務めるリチャード・ヒューズ氏に断りの連絡を入れたとして、ソシエダ残留を決断する結末となった。

 リバプールにとっては痛恨の破談劇となったなか、英紙「デイリー・メール」は「ソシエダは食事とハイキングで説得。当初約束したにもかかわらず、アンフィールドへの移籍を拒否することになった」と見出しを打ち、イマノル監督の説得方法に注目している。

「監督はスビメンディと数回にわたって会談し、退団すればファンは失望することを訴え、説得を試みた。また、サン・セバスティアンでの生活がいかに素晴らしいかも熱く語った。バスク地方の美味しい食べ物や、ウリア山に登るというスピメンディの趣味を中心にプレゼンテーションを行った。また、EURO(欧州選手権)決勝後にスビメンディがソシエダに残留するとスペインのテレビに発言していたことも掘り返した」

 また、記事では「ヒューズはスビメンディとアンフィールドに来ると約束を取り交わしていたため、この決断に怒りを覚えていると言われている」と、口頭で合意に至っていた状況から一転して破談した事態にリバプール側は不満を抱いていると指摘している。また、「残りの移籍期間や、パニックバイは避けたいクラブの意向を考えると、6番の獲得が今後実現する可能性は低い」と、今夏の移籍市場での補強は断念する方針であると説明している。(FOOTBALL ZONE編集部)