“京都の鬼”トゥードジボンが新潟重賞を制した理由とは? 好調イスラボニータ産駒の適性を分析
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返る関屋記念
【Pick Up】トゥードジボン:1着
先週はイスラボニータ産駒が大活躍。関屋記念をトゥードジボンが勝ったほか、小倉記念でコスタボニータが2着、札幌ではUHB賞をプルパレイが勝ちました。13回走って3勝、2着2回、3着2回という成績です。
イスラボニータ産駒は直線の長い芝コースを得意とし、小回りコースではやや見劣りします。関東であれば中山よりも東京の成績が良く、関西であれば京都・阪神とも内回りより外回りで実績を残しています。
トゥードジボンは京都コースの鬼なので、直線が平坦な新潟コースは合うのかもしれません。直線が長いコースも合います。
父イスラボニータは、アメリカのスピード血統であるインリアリティを4×5で持っています。これを継続したイスラボニータ産駒は成功しており、他にプルパレイ、フラッパールック、ミスボニータ、イサチルシーサイドなどが出ています。トゥードジボンは母方にインリアリティを3本持つ、という珍しい配合。平坦巧者、高速馬場歓迎、といったアメリカ血統由来の特長が表現されているように思います。
◆血統で振り返る小倉記念
【Pick Up】リフレーミング:1着
父キングヘイローは、ダンシングブレーヴ(欧州歴代最強馬の1頭)とグッバイヘイロー(米G1を7勝)の間に誕生した超良血馬で、現役時代に高松宮記念(GI)を勝ちました。
種牡馬としてはカワカミプリンセス(オークス、秋華賞)、ローレルゲレイロ(スプリンターズS、高松宮記念)、メーデイア(JBCレディスクラシック)などを多くの活躍馬を送り出し、母の父としてはイクイノックスを筆頭に、ピクシーナイト、キングズソード、ディープボンドなど大物を連発しています。
キングヘイローはそうした良血を受け継ぐ一方で、気性面の難しさがありました。血統的に短距離向きではないにもかかわらず、高松宮記念を勝ったのも、そうした点が影響したと思われます。また、本馬の母の父バトルプランも、エンパイアメーカー譲りの気性難を抱えていました。難しい血を掛け合わせて誕生した本馬は、やはり一筋縄ではいかない気性の持ち主で、かなり乗り難しいタイプです。今回の勝利は、1000m通過57秒6というハイペースとなったことで、折り合い面の懸念が薄らいだことも要因のひとつでしょう。