ひろゆき氏(2024年4月撮影)

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開催中のパリ五輪をめぐって、実業家のひろゆきこと西村博之氏によるXポストが波紋を広げている。

話題になっているのは、2024年8月1日に行われたパリ五輪・ボクシング女子66キロ級2回戦についての投稿だ。試合は、開始46秒でイタリアのアンジェラ・カリニ選手が棄権して、アルジェリアのイマネ・ケリフ選手が勝利した。

「金玉取った男性は、金玉取った男性です。女性ではないです」

勝利したケリフ選手は、21年の東京五輪でも準々決勝進出したが、23年に行われた世界選手権は「体内のテストステロン濃度が高い」として失格となった。その理由を後に、国際ボクシング協会のウマル・クレムリョフ会長は「(DNA検査で)XY染色体を持っていることが判明したため、スポーツイベントから除外された」と語っている。

こうした経緯もあり、カリニ選手の五輪出場には、批判的な声も見られる。各種報道によると、棄権したカリニ選手を擁するイタリアのジョルジャ・メローニ首相は「男性の遺伝子的特徴を持つ選手は女子種目に参加するべきではない」と反発。一方で、IOC(国際オリンピック委員会)のマーク・アダムス広報部長は、東京五輪にも出場していることなどを理由に「問題ない」との認識を示している。

そんな中、ひろゆき氏は8月1日にXを更新し、試合について以下のようにポストした。

「元男性が、女子オリンピックボクシングに参加。元男性の余裕勝ち。金玉取った男性は、金玉取った男性です。女性ではないです。トランスジェンダーは、トランスジェンダーであって、女性ではない。女性の大会に元男性を参加させるのは、女性の機会を奪う」

「なんで調べもせずここまで侮辱できるの?」

しかし、ひろゆき氏のこのポストには、背景情報を追加する「コミュニティノート」が、参考URLを添えてつけられた。

「Imane Khelif選手は、トランスジェンダーではなく、性分化疾患(DSD)により女性の身体的特徴を持ちながらも性染色体がXYである、生まれながらの女性です」
「Imane選手が該当すると思われるアンドロゲン不応症について、知識の共有が必要です」
「XY染色体を持つDSDの人が身体的優位性をもつことは他のスポーツでも認識されており、トランスジェンダーとは別で議論が必要ですが、誤った情報をもとに彼女を非難するポストには問題があります」(コミュニティノートより)

コミュニティノートは、元ポストの投稿者以外が作成し、他のユーザーからの「役に立った」との評価が集まると表示される。

ひろゆき氏のポストは、8月2日14時時点で、8000リポスト、6.7万いいねが付いている。そこに寄せられたリプライには、

「トランスジェンダー議論と一緒くたにするべきではありません」
「なんで調べもせずここまで侮辱できるの?」
「そもそもこの選手の母国アルジェリアではトランスジェンダーは認められていない」

と、ひろゆき氏に批判的な声が多く集まっている。