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選手村の食堂では選手たちが求める食事が提供されていないという。(C)Getty Images

 トップアスリートたちによる熱戦が続くパリ五輪。「史上最も環境にやさしい大会」を目標に掲げた一大イベントだったのだが、大会委員会の凝らした配慮が思わぬ波紋を呼んでいる。

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 とりわけアスリートたちだけでなく、各国の関係者からも反感を買っているのが、選手村での食事だ。

 7月18日にオープンした選手村には各国の選手団が続々と入村。現場も忙しなくなる中で、利用者からメインレストランで提供される食事量が不十分だという指摘が殺到。1日平均で約4万食を提供する宣言していた調理運営担当の『Sodexo Live!』社と、食材を準備する世界的スーパーマーケットチェーン『Groupe Carrefour』社が謝罪する異例の声明を発表する事態となっていた。

 運営側の準備不足が指摘される中、オリンピックを熟知する識者からも手厳しい声が飛んでいる。2012年のロンドン五輪の100メートル自由形で銀メダルを獲得した元競泳選手のジェームズ・マグヌッセン(豪州)は、ポッドキャスト番組『Matty & The Missile』で「この2週間を通して、本領を発揮しきれずに、世界記録はおろか、メダルすらも逃す実力者がたくさん出てくるだろう。ここの環境に不安を感じているからだ。私が参加した大会を含めてオリンピックの歴史上で、選手村に関してここまで苦情が出たことはない」と持論を展開した。

 また、現役選手たちとのやり取りを行っているというマグヌッセン氏は「選手たちは4年間、死に物狂いでやってきている。それなのに酷い扱いを受けるのはあまりに馬鹿げている」と主張。さらにジョークを交えて現役選手たちを慮った。

「昨日、私が話を聞いた選手は食堂のビーガンメニューの多さから、肉料理が不足していると冗談を言っていた。オーストラリアのヘビー級ボクサーはラムショップを頼んだら、2本しか出てこなかったらしいんだ。『1人2本まで』なんだそうだよ。彼の身長は198センチなのにね。明らかに不十分だよ。結局のところ、誰がこうした障壁を乗り越えられるか、こうしたノイズを脇に置けるかがポイントだ」

 アスリートたちから抜本的な見直しが求められる運営に改善は見られるのか。パリ五輪組織委員会は、今まさに真価を問われている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]