ロマンチックウォリアーが年度代表馬に 香港の2023/24年シーズン終わる
【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】
◆ゴールデンシックスティは最優秀マイラーに選出
14日にシャティン競馬場で行われた開催をもって、香港における2023/2024年シーズンが終了。その前日の13日夜に、市内のローズウッドホテルで、年度表彰「香港チャンピオンズアワーズ」の授賞セレモニーが行われた。
年度代表馬に選出されたのは、大方の予想通りロマンチックウォリアー(セン6・父アクラメーション)だった。
愛国産馬で、タタソールズ・オクトーバーセールのブック2に上場されたところ、香港ジョッキークラブに30万ギニー(当時のレートで約4430万円)で購買されて香港に渡ったのがロマンチックウォリアーだ。21年6月の香港インターナショナルセールにて480万香港ドル(当時のレートで約7042万円)で馬主ピーター・ラウ氏に購買され、ダニー・シャム厩舎に入厩した。
21年10月にデビュー。このシーズンは香港クラシックマイル(芝1600m)、香港ダービー(芝2000m)の香港4歳2冠に加え、G1クイーンエリザベス2世C(芝2000m)に優勝。最優秀中距離馬と最優秀4歳馬のタイトルを獲得している。
22/23年シーズンも、G1香港カップ(芝2000m)、G1クイーンエリザベス2世C(芝2000m)に優勝。2年連続で最優秀中距離馬に選出された。
無双とも言える強さを発揮するようになったのが、23/24年シーズンだ。序盤はオーストラリア遠征を敢行。現地における2戦目となったムーニーヴァレイのG1コックスプレート(芝2040m)を制し、香港調教馬による同競走初優勝という快挙を達成。帰国後は、G1香港カップ、G1香港ゴールドC(芝2000m)、G1クイーンエリザベス2世Cと、香港2000m路線の主要G1を3連勝。その後、待望の来日を果たし、GI安田記念(芝1600m)を制したのは、日本の競馬ファンの記憶にも新しいところだろう。
ほぼ完璧な成績で、年度代表馬のタイトルとともに、3季連続となる最優秀中距離馬のタイトルも手中に収めている。
昨シーズンまで3シーズン連続で年度代表馬の座にあったゴールデンシックスティ(セン8・父メダグリアドーロ)は、4シーズン連続の偉業はならなかったものの、最優秀マイラーのタイトルは死守した。23/24年はわずか2戦。224日ぶりの出走だったG1香港マイル(芝1600m)に優勝。しかし、4連覇がかかった2戦目のG1チャンピオンズマイル(芝1600m)では、渋った馬場に対応出来ず4着に敗れた。シーズン当初は、23/24年をもって引退と言われていたが、チャンピオンズマイルの後に陣営から、現役続行に含みを持たすコメントが出されている。
最優秀スプリンターには、23/24年シーズンの半ばから短距離路線に転じたカリフォルニアスパングル(セン6・父スタースパングルドバナー)が選ばれた。22/23年シーズン前半まではマイル戦を中心に走り、22年のG1香港マイル制覇などの実績を残していた同馬。連覇を狙った23年の香港マイルで13着に大敗。さらに24年1月のG1スチュワーズC(芝1600m)でも4着に敗れたが、続くG1クイーンズシルバージュビリーC(芝1400m)を制し、2度目のG1制覇を達成。さらにドバイのG1アルクオーツスプリント(芝1200m)も制し、3度目のG1制覇を果たした。
最優秀ステイヤーは、カリフォルニアスパングルと同厩のファイブジーパッチ(セン6、父キャメロット)が選ばれた。この馬は、23/24年は11戦して未勝利。5月のG1チャンピオンズ&チャターC(芝2400m)で、遠征してきたゴドルフィンのレベルスロマンスに、2馬身差の2着となった内容が評価されたようだ。
最優秀4歳馬は、G3ライオンロックトロフィー(芝1600m)、G3プレミアプレート(芝1800m)の2重賞を制した他、G1クイーンズシルバージュビリーC(芝1400m)2着、香港ダービー(芝2000m)2着の実績を残した、ギャラクシーパッチ(セン4・父ワンジナ)が選出された。
さらに、23/24年は7戦し、G3シャティンヴァーズ(芝1200m)を含む5勝をあげたカーインライジング(セン3・父シャムエクスプレス)が、最優秀グリフィンのタイトルを獲得。また、開幕時に52だったレーティングが111まで上昇した同馬が、モスト・インプルーヴド・ホースのタイトルも手にしている。
香港における2024/2025年シーズンは、9月8日に開幕する。
(文=合田直弘)