Photo: 山粼拓実

マイクロソフトが新ブランドのWindows PC、「Copilot+ PC」を発売しました。「Microsoft Copilot」はマイクロソフトが開発したAIアシスタントの名称。「Copilot」は日本語で「副操縦士」という意味。作業におけるパートナーとしての意味合いがあるのでしょう。

本当に副操縦士の名にふさわしいものか、ギズモードで動画制作をしている自分の映像クリエイター的な目線から実際に見てきました。

忙しいクリエイターの救世主?「コクリエイター」

今回のPCで追加された機能で「これいいな」と思った機能が「コクリエイター」機能。これはリアルタイムにマウスやペンなどを使った手描きと、タイピングによる文字で画像を生成出来る機能です。自分が幼稚園児のときに使っていたMicrosoft Paintから20年強。ここまでくるとは誰が予想したでしょうか。

Image: 山粼拓実
左のスペースに簡単に絵を描くと、右側に生成されたイメージが表示される

自分は映像を作っていることもあり、映像を作る前の資料、たとえばクライアントに撮影前に映像の構成を説明するスライドなどを制作することがあるのですが、スライドに載せるためのフリー画像などをひたすら集めるので時間がかかります。特に納期直前に文字だけではなく絵が欲しいと言われた時は絶叫モノです。胃が痛くなります。

しかし、もう大丈夫。どんなに絵が下手でも、どんなにPhotoshopやIllustratorが使えなくても、「コクリエイター」機能があれば簡単にイメージを作ることができます。

そもそも何が凄いの?

今回発表された「Copilot+ PC」ですが、そもそも何が凄いのか。それは、これらのPCがAI利用に最適化されているところと、それが大手PCメーカーに採用され、「スタンダード」になるところ。

AIサービスは大きく「クラウド」と「ローカル」で使えるものに分類できます。「Copilot」自体は「クラウド」で使えるものになりますね。

ただ、クラウド上で使うタイプのAIはデータをクラウドに投げるため、プライバシーの不安があったり、サーバーの電力消費などが膨大だったり、ネットワークが繋がらなかったり遅かったりするとAIがまともに使えないなどといったデメリットがあります。

一方、「ローカル」タイプのAIは高性能なGPUを使わないと動かせない、そしてGPUは高価で手が出しづらいというデメリットがあります。しかしパソコン内で処理を完結できるので、「クラウド」タイプのAIのデメリットを無くせる。

そして今回の「Copilot+ PC」はAI機能を使えるチップ「NPU」の処理性能が既存製品の3〜4倍。ローカルでAIを使うことが出来るんです。

Image: 山粼拓実

以前まではローカルで生成AIを使うには高性能のGPUを搭載したゲーミングPCが必要でしたが、これからはふつうのノートPCでそれが可能になります。生成AIを一般の人でもより気軽に触れられる時代が来たんです。

これらの機能がクリエイターにとって意味すること

でも、この機能を触った時、思ったんですよね。AIの機能はこのくらいまでがいいなって。Copilotの名の如く「副操縦士」でいて欲しいなって。これがもし、副操縦士ではなく、「操縦士」になってしまったら、僕たちクリエイターのお仕事はどうなるんだろうって。

Image: 山粼拓実
Copiltキー

その昔、映像で主流だったフィルムがデジタルに移行したように、僕たちクリエイターはかなり大きなパラダイムシフトにいると思います。AIと「仲良く」したい気持ちはありますが、同時にAIに仕事が奪われたらという不安があるのも事実。

でも何より、このパラダイムシフトにいる今も楽しいというのもまた本当。今後のAIというソフトウェアとPCなどといったハードウェアの融合とその進化が楽しみです。

Source: Microsoft