これまで犯罪多発都市や沈みかけの絶海の孤島、人よりホッキョクグマが多い世界最北の町などに弾丸現地取材してきた「ドメイン島巡り」、第46回目となる今回はカナリア諸島を巡ります。年間を通して温暖な気候であることから「大西洋のハワイ」と呼ばれているカナリア諸島は、主にヨーロッパからの観光客が年間約1000万人も訪れる人気のリゾート地。カナリア諸島は7つの島からなるスペイン領の群島で、今回はその中で最も大きいテネリフェ島にある世界一の動物園や、先住民であるグアンチェ族のミイラが展示されている人類自然史博物館などを見にいってきました。

ドメイン島巡り - 世界のドメイン1,000種類以上を取り扱うインターリンクが、「.cc」「.tv」「.sx」等、南太平洋やカリブ海などの「島のドメイン」約50種類に焦点をあて、実際にその島々に行き、島の魅力をレポートします。

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◆カナリア諸島はどこにあるのか?

カナリア諸島はアフリカ大陸の北西部、モロッコおよび西サハラ西岸沖に位置しています。最も大陸に近い島は東部のフエルテベントゥーラ島で、大陸からの距離は約100kmほど。スペイン領の群島ですが、スペインからは約1000kmも離れています。大西洋上に点在する7つの島々は火山性の地形で、新しい島ほど標高が高いという特徴があります。島の総面積は約7270平方km。人口は約220万人(2021年時点)で、公用語はスペイン語です。日本との時差はマイナス9時間。使用されている通貨はユーロです。

目次

◆レンタカーをキャンセルしてUberで散策

◆世界一に選ばれた動物園で楽しむオウムのショー

◆地元の人でにぎわうセニョーラ・デ・アフリカ市場

◆髪の毛がフサフサなミイラがいる?人類自然史博物館

◆カナリア諸島の食事事情はこんな感じ

◆街で見かけた「.ic」ドメイン

◆現地でのSIM購入&速度調査

◆レンタカーをキャンセルしてUberで散策

ポルトガル航空「TAP」でポルトガルのリスボンを経由して、テネリフェ島のテネリフェ・スール・レイナ・ソフィア空港に到着。大西洋のハワイと言われるだけあって、広い空港です。



空港内にあるレンタカー会社「Europcar」でレンタカーを手配していたので取りに行きます。Europcarはフランスのレンタカー会社で143ヶ国に2825店舗を展開。20万台以上の車両を所有しています。国際運転免許証を提示して、手続きはスムーズに完了。ちなみに、ナウルとノーフォークは国際運転免許証が不要で、日本の運転免許証だけでOKでした。



借りたのはフォルクスワーゲンのファミリーカータイプだったのですが、クセのあるマニュアル車のためか運転がままならず。キャンセル料などはかからないとのことで、やむなくレンタカーをキャンセルすることにしました。



というわけで、Uberを手配して再出発。取材に訪れた1月のカナリア諸島の平均気温は22℃。暑くもなく寒くもなく、とても過ごしやすい気温です。天気も快晴。



空港から約40分で宿泊先のホテル「Hotel Taburiente」に到着しました。島北部のサンタ・クルス・デ・テネリフェ地域にあり、周辺にはレストランやバーなどがあって快適なホテルです。



ホテルの近くにあったのはガルシア・サナブリア公園(Parque García Sanabria)。島の中心部にある公共の都市公園で入園は無料。入口の花時計も有名です。



歴史を感じる街並みが広がっています。大航海時代には、コロンブスも立ち寄ったアメリカ大陸への中継地でした。



◆世界一に選ばれた動物園で楽しむオウムのショー

ホテルから車で約30分の「ロロパーク」に向かいます。ロロパークはカナリア諸島を代表する観光スポット。



ロロパークに到着。「ロロ」(Loro)はスペイン語で「オウム」を意味する単語。「ロロパーク」の名の通り、1972年に開園した時はオウム園でした。2017年には、世界最大のオンライン旅行会社「Trip Advisor」により世界一の動物園に選ばれています。また、マイケル・ジャクソン氏も生前に訪れたことがあるそうです。



スペイン観光公式サイトによると、13万5000平方メートルの敷地内には水族館や「Naturavision(ナチュラビジョン)」と名付けられたスペースがあり、イルカ、アシカ、ゴリラ、チンパンジー、ペンギン、シャチなど多種多様な動物が飼育されているとのこと。



入場料は大人42ユーロ(約6680円)、子ども30ユーロ(約4770円)でやや高く感じますが、園内には約700種の動物がいる上に、オウム園として開園されただけあって世界に生息する約800種のオウムのうち約350種にここで会うことができるので、十分に訪れる価値があります。



広いスペースで飼育されているフラミンゴ。どの動物も快適な環境で生活しています。



このゲートの先はオウムやインコが放し飼いされているエリア。



触れることはできませんが、オウムたちが近くを鳴いたり飛んだりしていて一緒の空間を共有していることで触れ合っているような感覚になれました。以下の動画で放し飼いエリアの様子を見ることができます。

カナリア諸島の世界一に選ばれた動物園「ロロパーク」内オウムやインコの放し飼いエリア - YouTube

人間の立ち入りが禁止されているエリアでは、鳥同士が安心してコミュニケーションをとっていました。



いろんな種類のインコに会うことができます。



昼食は園内のレストランでピラフ、スペアリブ、フライドポテト、フライドチキン、オレンジジュース、アップルジュース、紅茶を注文。全部で30ユーロ(約4900円)以上しました。



園内には「Loro Show」というオウムのショーが開催される建物がありました。



ショーの上演時間は20分で、1日5回開催されます。タイミングが合ったので見てみることにしました。



館内に入ると、100名以上の観客がオウムの登場を待ちわびていました。



ショーがスタートすると、最初にスタッフがオウムの歴史などを説明し、その後、2羽のオウムが登場しました。これからゲームが始まるようです。ゲームの内容は、テーブルの上にある輪っかを先に集めたオウムが勝ちというもの。



スタッフ2名がそれぞれ「こちらのオウムが勝ちますよ!」と観客に向けてアピールし、会場はヒートアップ。以下の動画でゲームの様子を見ることができます。

世界一に選ばれた動物園で楽しむオウムのショー(カナリア諸島「ロロパーク」) - YouTube

他にも観客の頭上をオウムが飛んでいくショーなどが行われました。ショーはすべてスペイン語で行われるのですが、見ているだけで理解できる内容なので、スペイン語が分からなくても楽しめます。あっという間の20分でした。お土産屋にあったオウムのぬいぐるみもかわいかったです。時間の都合上、見ることができなかった動物がたくさんいましたが、園内はとても充実していて動物好きな人ならいくらでも時間が溶けていきそうなスポットでした。



◆地元の人でにぎわうセニョーラ・デ・アフリカ市場

ホテルから歩いて15分ほどの場所にあるセニョーラ・デ・アフリカ市場(以下、「アフリカ市場」)に行ってみます。



アフリカ市場の入り口はこんな感じ。一見すると市場には見えない立派なたたずまいです。



中に入ると、まず大きな時計塔が目に飛び込んできました。その周辺にはいろいろなお店があります。



色とりどりな野菜や果物を売るお店。



野菜を売るいくつかのお店は、朝早くから多くの人でにぎわっていました。



ここは魚屋。他にも、肉類やスパイス、お菓子、野菜、チーズなどいろいろなお店がありました。この市場に来れば食材が何でもそろいそうです。



中央には子ども用の遊び場があります。



地下にも多くの店舗や食品スーパーがありました。アフリカ市場という名前からアフリカのものを多く扱っているのかと思いましたが、地元民に愛される超便利な市場でした。いろいろなものを売っているので、観光客がお土産を買うのにも良いスポットだと思います。



買い物に疲れたらマッサージチェアで休むのもあり。



◆髪の毛がフサフサなミイラがいる?人類自然史博物館

「人類自然史博物館で、先住民であるグアンチェ族の髪の毛がフサフサなミイラが展示されている」と聞き、一体どんなミイラなのか気になったので見に行きます。入場料は5ユーロ(約795円)。



館内はとても広いです。



グアンチェ族の歯や顎の病気について書かれていました。顎歯疾患の研究は当時の人々の食生活、健康状態などを解明する際に必要不可欠であり、グアンチェ族では体内の特定の場所に膿が溜まる膿瘍(のうよう)が一般的であったと判明しています。1983年に発表されたマルセル・センレール氏の研究によると、当時の人々は膿瘍(のうよう)が病気であることに気づいていなかった可能性が高いそうです。



2階に上がると何かが横たわっているのが見えます。



ミイラです。先住民であるグアンチェ族のミイラがありました。ただ、残念ながらこれはレプリカ。スタッフによると、2017年12月には期間限定で本物のミイラが展示されていたそうです。



グアンチェ族は紀元前1年頃におそらく北アフリカからテネリフェ島に到着し、カナリア諸島全体の原住民だったと言われています。



独自の言語と習慣を発達させたグアンチェ族は、ベルベル語の変種だといわれるグアンチェ語を話していましたが、記事作成時点では使われていません。しかし、グアンチェ語のいくつかの単語は、カナリア諸島固有のさまざまな動植物の碑文、地名などを通じて知ることができるようです。



◆カナリア諸島の食事事情はこんな感じ

ホテルの近くにあるミシュラン認定のレストラン「Restaurante Sagrario」へ本格的なスペイン料理を食べに来ました。



最初に出てきたのはお通しのスパニッシュオムレツのようなもの。ほど良く塩味が効いています。



あまりのおいしさにあっという間に食べてしまったイベリコ豚の生ハムとチーズ(27ユーロ/約4310円)。



あとは海鮮をメインに注文しました。「Gambas roja plancha」はエビのグリル(30ユーロ/約4789円)。香ばしくてゆで加減と味つけが絶妙でした。



「Ens templada gambas」という、サラダにエビ、トマト、アボカド、イカ墨が入ったパスタ(24ユーロ/約4789円)は独特の食感。



しっかりと味付けされたタコ料理の「Pulpo a la gallega」(26ユーロ/約4149円)は食べやすくてアヒージョのような味でした。



「Tiradito de atún」という魚のカルパッチョ(29ユーロ/約4628円)は、わさびが山盛りになっていますがそれほど辛くありません。ヨーロッパで食べる寿司のような感覚でした。醤油漬けになっているからか、少し塩味が強い印象。どのメニューも味は濃いめです。店員さんが親切で、おすすめのメニューなどを教えてくれました。



◆街で見かけた「.ic」ドメイン

それぞれの国には、「ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)」という国ごとに割り当てられたドメインが存在します。「ドメイン島巡り」は、そんなccTLDの中でも「島国」に割り当てられている約50種類のドメインに焦点をあて、実際にそのccTLDが割り当てられている島国を訪れて現地の魅力をレポートすると共に、「現地でそのドメインがどのように使われているのか?」を調べるのが目的。

カナリア諸島に割り当てられているccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は「.ic」です。

しかし、カナリア諸島の政府は2011年から「.ic」ドメインの運営について前向きな議論をしているものの、2024年6月時点でも利用が開始されていません。そのため、現段階では誰も「.ic」ドメインを使うことができない状態なのです。カナリア諸島政府の公式ホームページは、「.org」を使用しています。

「.org」は「organization」の略で、非営利組織向けの一般トップレベルドメイン(gTLD)です。



◆現地でのSIM購入&速度調査

今回はeSIMのMTX Connectを利用しました。テネリフェ島サンタ・クルス・デ・テネリフェ周辺で1.7Mbpsでした。



海外に行く予定のある方は以下のページも参考にしてください。

最強の海外用eSIMはコレだ!海外用Wi-Fiはやめておくべきこれだけの理由|株式会社インターリンク

https://note.interlink.blog/n/nbc08ddc8169e

というわけで、今回のドメイン島巡りで訪れた場所は以下のGoogleマップ上でまとめて確認可能。

また、「カナリア諸島まで実際どうやって行けばいいの?」というアクセスの詳細はここから確認可能です。

(文・写真:インターリンク https://www.interlink.or.jp/

ドメイン島巡り https://islanddomains.earth/)