ProArt PZ13は年内発売だけど、P16とPX1はもう発売中
Photo: Kyle Barr / Gizmodo US

呪文みたいな語感の新素材「セラルミナム(ceraluminum)」。

セラミックとアルミナム(アルミニウムの米語)を合わせた造語で、最新のAMD Ryzen 300 AI CPUを搭載した次世代AIパソコン「Asus Zenbook S16」ではこの新素材の加工が施されており何かと話題です。でも今年のAsus(エイスース)は、自社製ゲーミングPCのROG Zephyrusからベストデザインを流用した「ProArt PC」の新モデル3種のほうが面白そうです。

Microsoftが5月に発表したAI強化パソコン「Copilot+」シリーズ。そのAIパソコンの要件を満たすPCをAsusも3日に公開しました。

米Gizmodoも未発売のAsus製ノートを見る機会があったのですが、会場では新素材よりも何よりも、とにかくProArtsの守備範囲の広さに驚きました。仕事からデザイン、ゲームまで、本当になんでもこなせるんです。ほかの新型ノートの本年モデルと比べてもProArtsはなんでも任せられる感が出色です。

トライアル&エラーを重ねて磨き上げられたハードをうんと詰めて、最新のテスト前のAMD製AIプロセッサを搭載。

会場ではノートPCとタッチスクリーンの両モデルをほんの少し触らせてもらっただけですけど、AsusのゲーミングPC群と仕事用PC群のいいところどりをして、Copilot+対応型ノートに全乗せするなんて、よくぞできたもんだと、つくづく感心してしまいました。

見た目

Photo: Kyle Barr / Gizmodo US

まず「ProArt P16」ですが、こちらは「ROG Zephyrus G16」そっくりな新しいシャーシ採用。「ROG Zephyrus G1」で好評を博した素材をそのまま使っていて、前の「ProArt Studiobooks」より軽量・薄型になっています。

画面はリフレッシュレート240Hzではなくて4K×60Hzだし、ROG Zephyrusみたいなバックライトもないけれど、いちおうGPUには、Nvidia Geforce RTX 4070のディスクリートGPU、CPUにはRyzen AI 9 HX 370が入ってます。選べる構成はひとつだけだし、価格も2700ドル(円ドル換算で約42万円)と高めですが、米市場ではすでに公式ストアなどで注文受付中です(日本AsusのProArt PCのページには旧モデルしかまだ記載がありません)。

ProArt 16はまだ見慣れたPCという印象だけど、もっと飛んでいるのは、「ProArt PX13」と「PZ13」でしょう。

「PX13」はゲーミングPC「ROG Flow X13」と同じ2in1の端末です。2.8KのOLEDディスプレイはHDRにも対応。GPUはGeForce RTX 4060を搭載。米市場価格2000ドル、近日発売に向け予約受付中です。

「PZ13」はMicrosoft Surface ProやAppleのM4 iPad Proの比較対象としてみると面白いかもしれません。Snapdragon X Elite駆動。同梱のキックスタンドは磁石でPCの後ろ側にカチッ。キーボードはタブレットの下のほうに括りつけられます。

打鍵感はかなりいいです。Magic Keyboardとか使ったことない人が触ると浅く感じるかもしれませんが、軽くて確か。画面は13インチの3K OLEDタッチスクリーン。ポートは豊富で、USB-Cポートが2つあって、フルサイズのSDカードリーダーもついています。ほかの2機種より少し遅れて、今年第3四半期発売予定。

「セラルミナム」を触った感想

Photo: Kyle Barr / Gizmodo US

CPUの構成がx86ベースのRyzenとARMベースのSnapdragonの2派に分かれたとなると、気になるのはどっちの処理性能とパワーが上かってところかと。Asusが今年発売するほかのPCのラインナップは、みな同様にCPUが2つに分かれています。

冒頭でチラッと名前を出したZenbook S16のCPUは「Ryzen Ai 9 HX 370」。画面は3K、リフレッシュレート120HzのOLEDです。

肝心の「セラルミナム」素材は手ざわりがよくて、まるで陶器のようにスムーズ。プラスチックとは全然違うのに、すごく軽いと感じました。背面プレートもおしゃれで、カラーはオフホワイトです。

未来のAIより、現材の使用感

Asusは新素材と冷却構造を一生懸命PRしているんですが、やっぱりAIパソコンとなれば、一番大事なのは処理性能ですよね。

新しく出たばかりのCopilot+対応機能も少し試してみましたが、処理性能の高さを実感できる機能がそもそもないのが現状。

「Copilot+」のAIパソコンは最低でも40TOPS(毎秒40兆回の演算が可能なこと)のNPUを搭載し、オンデバイスでAIを処理できるのが特長なのだけど、いかんせん今使えるAI機能が少なくて、スクショ常時保存機能「Recall」とかお絵描きソフトのAI生成ぐらいなんですよね…。AIのキラーアプリが出るまでNPUの話題は半開きの眼でスルーしてもいいようにも感じます。

ProArtsで特にワクワクしたのは、Asusのデザインスレートの粋を結集したルック&フィールだったからです。セラルミナムは横道のおまけかも(新語で区別しないと旧モデルと見分けが難しいのはわかりますけどね!)。