チャットAI「ChatGPT」や画像生成AI「DALL-E」などを開発するOpenAIは、2020年に社内のロボット工学チームを閉鎖しています。しかし、OpenAIが再びロボット工学チームを始動させようと研究エンジニアを募集していると報じられています。

OpenAI Is Rebooting Its Robotics Team (paywall bypass in comments) : r/singularity

https://www.reddit.com/r/singularity/comments/1d4g0ma/openai_is_rebooting_its_robotics_team_paywall/



Briefing: OpenAI Restarted Its Robotics Team - The Information

https://www.theinformation.com/briefings/openai-restarted-its-robotics-team

創業当初のOpenAIはロボット工学をミッションの柱に据え、共同創業者のヴォイチェフ・ザレンバ氏は、汎用(はんよう)ロボットの構築を目指すチームを(PDFファイル)監督していました。実際に2019年にはOpenAIの研究者が「1本のロボットハンドでルービックキューブを解くために、2種類のニューラルネットワークをトレーニングした」という(PDFファイル)論文を発表しています。

しかし、2020年10月にOpenAIはロボット工学チームを解散。ザレンバ氏は解散の理由について「トレーニングデータ不足」と述べた上で「チームを解散するという決断は非常に困難なものでした。しかし、会社から見るとこの選択がベストです」と述べています。

その後、ChatGPTなどの成功で大きく成長したOpenAIは、ヒューマノイドロボットの開発を進める企業であるFigureに7億4500万ドル(約1100億円)、1X Technologiesに1億2500万ドル(約190億円)、Physical Intelligenceに7000万ドル(約109億円)の投資を行うなど、ロボット工学への積極的な投資を実施。



OpenAIの投資を受けたFigureは2024年3月に、OpenAIのマルチモーダルAIモデルを搭載した会話可能なロボット「Figure 01」を発表しています。

OpenAIのロボット工学チームの元メンバーだったピーター・ウェリンダー副社長は「我々は常にロボット工学の分野に戻ることを検討しています。現段階ではヒューマノイドロボットが高性能なマルチモーダルAIモデルによって何が達成できるかをFigure AIとともに見守っています」と語りました。

しかし、一部の関係者によると、OpenAIは閉鎖したロボット工学チームを再建するために研究エンジニアを募集しているとのこと。OpenAIは自社開発のロボット工学の取り組みについて詳細を明らかにしていませんが、求人情報には「チームの最初のメンバーの1人になろう」と記されているそうです。



また、再始動するOpenAIのロボット工学チームは既存のロボットメーカーと競合するつもりはなく、共存の道を選ぶ予定で、ロボットメーカーが自社のシステムに統合する技術の構築を担当するとされています。加えて、ロボット工学メンバーに採用されたエンジニアには、外部パートナーとのコラボレーションとAIモデルのトレーニングを任されることが求人情報に記載されています。

一方で、OpenAIのロボット工学チームの元メンバーが集まって設立された、独自のロボティクスモデルのトレーニングを行う「Covariant」は、OpenAIが再びロボット工学分野に乗り出すことで、限られた人材をめぐる争いが激化することを危惧しています。