米Intelは5月20日(現地時間)、コンシューマ向けに次世代Coreプロセッサとして開発中だった「Lunar Lake」と「Arrow Lake」ベースの製品のうち、「Lunar Lake」を2024年第3四半期(7月〜9月)に市場投入する計画であることを発表した。

デスクトップやゲーミングノートPC向けとなるのが「Arrow Lake」で、今回の「Lunar Lake」は主に薄型で軽量なノートPC向け。これまで、ともに2024年後半に発売する予定をアナウンスしていたが、「Lunar Lake」が先行することになる。なお、「Arrow Lake」の発売は2024年第4四半期になる。

Lunar Lakeは次世代AI PC向けともされている。今年のComputexではArrow Lakeの情報アップデートがあるようだ

P-coreにはLion Cove、E-coreにSkymontコアを搭載。この組み合わせは恐らくArrow Lakeも同様だろう

あわせて、Lunar Lakeの性能にかかわる情報も新たに公開されている。2種類のコア・マイクロアーキテクチャを1つのダイ上に統合したハイブリッド・アーキテクチャは継承し、新たにP-core(Performance-core)には「Lion Cove」コア、E-core(Efficient-core)には「Skymont」コアを搭載。P・Eコアのアーキテクチャの組み合わせはArrow Lakeと同じと見られるが、性能重視版と言えるArrow Lakeに対し、Lunar Lakeのそれは省電力化のために何かしら最適化している可能性もある。

改めて現行のMeteor Lake (第14世代 Core Ultra)のディテール。AI処理を担うNPUを内蔵したことで「AI PC」の端緒となった。Meteor LakeのAI処理の性能はTOPS(Tera Operations Per Second)の単位だと、CPUとGPUも含めたチップ全体で最大34 TOPS、NPU単体で11 TOPSと言われている

Lunar Lakeは、P・EコアのほかGPUとNPUも更新しており、チップ全体で100 TOPS、NPU単体でも45 TOPSの性能とのこと。Meteor Lakeの約3倍のAI処理性能を獲得したことになる

Lunar Lakeの新しいXe GPU、Xe2 GPUで60 TOPS。Meteor Lakeのものとの違いとして、XMXエンジンも搭載した

Lunar Lakeは、SnapdragonやRyzen、Meteor Lakeと比較し、AIやゲームやコア性能で速く、かつ省電力だとするスライド。

インテルのテストでは、グラフィックス性能はMeteor Lake比で1.5倍、Stable DiffusionでSnapdragon X Eliteの1.4倍速く、そしてSnapdragon 8cx Gen 3より20%省電力とされる

これは以前のロードマップ。18AプロセスのLunar Lakeが、20AのArrow Lakeより先に出てくることになった

このLunar Lakeは、2024年第3四半期の特にホリデーシーズンに出荷するとアナウンスされており、既に20社以上のPCメーカーが80機種以上のノートPCのリリースを計画しているという。

また米マイクロソフトのWindows + Devices担当Corporate Vice PresidentであるPavan Davuluri氏は、Lunar Lakeの発売に「"Copilot+"エクスペリエンスを大規模に提供できるようになることを楽しみにしています」と述べている。Windows 11の新バージョンでは「Copilot+」として、高度なAI機能がクラウド処理ではなく、「AI PC」などが搭載するローカルのNPUの処理によって使用できるようになるそうだ。



<動画>Introducing Copilot+ PCs(マイクロソフトが公開した「Copilot+ PC」の紹介動画)